読み終わってまず、温かい感情が心に染み渡ります。
この小説では、心理と情景が丁寧に、大切に描かれていました。
そのため、主人公の気持ちの変化や登場人物、美術室や絵の様子を、ありありと想像できました。
恐らく、今まで生きてきた中で、知らない内に他人を見下してしまうことはあると思います。
自分より、飛び抜けた才能を持っている人を見ると、落ち込んだり、焦ってしまったり、安心したいがために、ついその人の劣っている点を探してしまったり...。
そんなことが私も結構あったので、この小説を読んでいる時、どきりとする瞬間がありました。
そして、対照的ともいえる、みどりちゃんの純粋さがとても眩しく感じました。
主人公は、みどりちゃんのようにはなれないかもしれないけど、絵で通じ合うことが出来る。同じ世界に住むことが出来る。
全然違うけど、変わらない。
大切なことに気付かされた、素敵な作品です。