火星移住

地球は水没の危機にあった。そこで、地球人は火星に移住することにした。火星人たちはタコのような姿だった、そして地球人を歓迎してくれた。地球人と火星人は仲良く暮らしていた。

 私は仕事で忙しかったので「火星政府家政婦協会」に連絡して、家政婦派遣センターを紹介してもらった。『火星婦』と言う名前の派遣センターから、さっそく家政婦さんが来た。彼女の仕事は実にはやかった。一気かせいに仕事を片付ける。だが、火星人の皮膚は粘液質だったので、食器を洗っても、なんかヌルヌルしていた。

 火星には小さな印刷屋の町工場が多かった。そして、どこの社長も「タコ社長」と呼ばれて、親しまれていたのか、ちょっとおちょくられていたのか、たまに隣の家に上がり込んでは、喧嘩をおっぱじめることもあった。

 ところが地球人が持ち込んだプリンターのせいで、印刷屋は次々とつぶれていった。印刷屋の社員は路頭に迷い、たまに暴動を起こすようになった。地球人の取り締まりは厳しく、やがて地球人と火星人の争いは戦争に発展した。

 地球人は「熱湯放射器」なるものを開発し、火星人はその場で、ゆでタコにされてしまった。そして、それを食材にした、空前のタコ焼きブームがやってきて、たこ焼きプレートが飛ぶように売れた。

 難を逃れた火星人たちは、地球人が住めない極寒の地で暮らし始めたが、そこの暮らしは厳しかった。火星人の若き指導者ソーレ・ハイネケンはタコ焼きプレートをヒントに、宇宙船「たこ焼きプレート型円盤」の開発に成功した。材料は無尽蔵にある天然のドライアイスを使った。そして、火星脱出が決行された。ソーレ・ハイネケンはドライアイスの船の中でキンキンに冷えたビールばかり飲んでいたのだが、つまみに自分の足を食べ過ぎて死んでしまった。部下から「自分の足を食べるタコと同じだな」と揶揄された。

 そして、ついに一行は、美しい青い星を発見した。そこは可住惑星だったが陸地がなかった。海ばかりだ。ドライアイスの船は着水すると、ブクブクと泡を立てて溶けてしまった。しかし火星人は海の中でも平気だった。水中にはタコツボがたくさん沈んでいたので、火星人はタコツボをすみかとして、やっと安住の地を得た。

 ある海底で火星人は、タコ焼きプレートを発見した。彼らはこのとき初めて、この惑星が地球人の故郷であり、地球が水没したために地球人が火星にやってきたと言うことを知ったのだった。その海底は昔の大阪だったのだ。

 その後も火星人は地球で平和に暮らした。

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