記憶整理

「へぇ、そんなことがあったのね。それで、バーサーカーの力を取り戻したい、と」


「はい。何か方法はありますか?」


「もちろんあるわ。記憶が容量オーバーになったら記憶を圧縮してしまえばいいのよ」


「記憶を圧縮?」


「ええ。記憶の容量に空きができれば、失われた力を取り戻すことができる。圧縮した記憶は思い出しにくくなるけれど、完全に消えるわけではないわ。要は記憶の整理ね」


「なるほど。じゃあ、記憶の宮殿に潜るんですね。潜り方は知らないですけど……」


「手助けはしましょう。さあ、もう少しこちらへ」


 手招きされるままレティの方に寄ると、柔らかな感触が顔面に押しつけられた。

 これは――


「ちょっ、レティさんっ!?」


「こらこら、暴れないの。記憶の宮殿に潜るんでしょう?」


「そ、そうですけど、これとなんの関係があるんですかっ」


「あら、大いに関係あるわ。包まれている感覚は意識を深くまで沈めることができるのよ。まあ、自力で記憶の宮殿に潜れるなら任せるけれど」


「あっ、す、すみません……こ、このままでお願いします……」


 横目でちらりとチェリーコードを見るが、彼女はいつの間にか寝落ちしていた。体力、精神力共に酷使したのだ、無理もないだろう。

 よかった……こんな姿、チェリーコードに見られていたらぶっ飛ばされていた。

 レティの胸の中で甘い匂いを嗅いでいるうちに、意識はみるみる深層へと沈んでいった。

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