棺の少女

 一日にして資料に載っていたギャングは壊滅状態に陥った。

 まだボスこそ仕留められていないものの、組織が完全崩壊するのも時間の問題だろう。


「さて、ここも片付いたか。今日は疲れたな」


 死屍累々。敵は数こそ多いが、戦力に換算するとそこまでではない。束になってかかってこようが蹴散らせば関係ない。

 チェリーコードと合流して何か食べるかな。今ならどんなものでも喉を通りそうだ。

 踵を返しかけると、背後の部屋から物音がした。

 まだ生き残りがいたのか。仲間に余計な情報を流されたら厄介だ。とどめを刺しておくか。

 血液で滑る床に気をつけながら部屋へと戻る。

 しかし、部屋の中を見回しても誰もいなかった。あるのは死体と棺くらいのもので、他には何も見当たらなかった。


「ん、棺?」


 そういえば、ギャングたちは俺からこの棺を守ろうとしていたようにも思える。一体何が入ってるんだ?

 近付くと棺の中で何かがぶつかる音がした。どうやら先ほどの物音の発生源はこれで間違いなさそうだ。

 怖る怖る棺を開く。

 中にいたのは――


「お、女の子……?」

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