再決闘

 俺は廃工場にいた。

 対峙するはウェイズリー。まだ動揺の色が窺える。


「どうして生きている? 僕は確かに君の心臓を貫いた。君は死んだはずだ」


「確かに、俺は死んだ。でも、生き返ったのさ。それ以上でもそれ以下でもない。理由は俺にもよくわからないし、もう知る必要もないことだ」


「……そうか。だが、わざわざまた決闘をする必要はなかったのではないかね。あのお嬢さんと逃げていればよかったものを」


 チェリーコードには会いに行っていない。先にウェイズリーと決着をつけようと思ったからだ。


「君は僕には勝てない。それは君もあの時察したはずだ」


 その通りだ。近距離では俺に勝ち目はない。

 しかし、俺には唯一の勝機が残されている。もう一度命を犠牲にしなければならないが、確実に一発はお見舞いできる。

 一発で決める。決めてみせる。


「お前を殺す」

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