無双とバカンスの始まり

 海辺の街――レアルタ。

 俺はトロピカルジュースをストローですすり、スコープを覗き直した。

 昨夜、リバースに発信機をつけておいた。さすがの索敵能力でも街を離れてしまえば俺を捜すことは不可能に等しい。

 隣にはチェリーコードがいる。何十キロメートルも先のターゲットに狙いを定めるには相当な精神力がいるため、油断したら気を失ってしまいそうだ。


「血眼になって俺たちを捜してるな、リバースのやつ」


 ――邪魔者は殺す。


 今決めた。俺はこの異世界で無双してやろうと思う。そして、トップランカーになったらスローライフを楽しむ。

 スコープの先で白いキャンバスに赤い花が咲く。

 強敵の幕切れは呆気なかった。


「ふぅ……チェリーコード、デートしよう。海が見えるレストランを予約しておいた。その後は……まあ、海を見ながら考えればいいか」

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