海外TRPGの翻訳権やアニメスタジオの買収も成功したし、LD音ゲーはかなりの人気だけど乙女ゲーはそう単純には行かないようだ

 さて、チェルノブイリ原発事故から世界的には脱原発や原発に対しての安全性強化の流れができて、日本もそれに乗るようになったのは良いことだと思う。


 まあ発展途上国はそうとも限らないようだけども。


 そして5月の中間考査はいつもどおり余裕でクリアした。


 で、また買収に関していくつかの進展があったようだ。


「海外のTRPGの版権の獲得の件ですがカオティック社とFASe社との契約が出来ましたわ。

 実際に交渉を行ったのは足利さんですが」


「お、それはいいね、足利さんも大したもんだ」


「えへへ、それほどでも」


 これで海外TRPGの有名タイトルの翻訳ができそうだ。


「それからアニメ制作スタジオのスタジオジブチ、ガイアックス、スタジオクラウンの買取も終了しましたわ」


「それはまた助かるよ」


 現状ではそこまで大きな影響力はないけど後々には強い影響力を持つ作品を作ってくれるはずだしな。


 それからそろそろゲーム制作部も発足から一年がたったわけだ。


 最初は俺と斉藤さん、最上さんと朝倉さんに北条先輩でワイワイガヤガヤと話をしながら、桃の子太郎討鬼伝説を作っていた頃が懐かしい。


 おそらく北条先輩がいなければみんなで楽しくゲームを作るだけで終わってしまっていた可能性も高いから、儲けにこだわりすぎるのは欠点にも思えるけど、やはり北条先輩はゲーム制作部にはなくてはならない人だと思う。


 そのゲーム制作部も株式会社ライジングになって、プログラマーが増えたりサウンドクリエイターが増えたりなんだりしたし、今年の新入部員の入部もあって、ガチな会社としてとしての面が強くなっていってる気はするけどな。


 野球やサッカー、テニス、バスケ、バレーなどをする人間が何も全員プロを目指すわけではないようにもう少しゆるい雰囲気でのゲーム制作をしてもいい気もするんだけど。


「ようやくLD版リズムマニアックスとダンスエモーションができたです」


 朝倉さんがいかにもやり遂げたという笑顔でいうので俺もそれにうなずく。


「歌とダンスアニメーションが入るだけでもだいぶ感じが違うもんだな」


  昭和58年(1983年)のLDゲームの登場当時は、非常に綺麗な映像を使えるビデオゲームとして、大いに期待されたが、実際に日本での人気はすでに昭和59年(1984年頃)には衰退していて昨年は未発売タイトルも相次いだ。


 これはLDの元映像自体は鮮明ではあるものの、ビデオゲーム用のテレビ画面では解像度が足らず再生映像が少々ぼやけていたり、LDゲーム自体がきれいな映像を見られる単なる覚えゲーでそれ以外の要素に用いられなかったり、ゲームのアニメーション自体がどこからかの切り取りだったりしてあきられやすかったというのが理由だろう。


 で、そういった事もあってLDゲーム筐体が余ってる今なら置き換えも比較的楽だったし、アニメーションや音声の美しさを生かしたリズムアクションはアーケードで大ヒットした。


「これも朝倉さん、最上さん、伊達さんに浅井さんが頑張ってくれたおかげだな」


 これくらいのゲーム制作に成ると一人で全部というのはもはや不可能だ。


 そして北畠さんがメインシナリオライターのエイサー王伝説外伝サイドMも完成した。


 基本的な背景グラフィックなどはエイサー王伝説のものを流用し、新たに男性キャラなどを描き下ろしたりはしたものの、シナリオ方面以外は流用できる要素はエイサー王伝説のものをなるべく使ったおかげもあるけどな。


 こちらはいつものようにフェニックスでパソコンとホムコンで発売し、集英組の少女漫画シャスターデージーの袋とじで宣伝してはもらったものの、ホムコンでの売上は40万本ほど、パソコンでは千本ほどだった。


「うーん、やっぱ女の子でホムコンやパソコンのゲームをやる人はまだまだ少ないってことかな。

 まあ、これから増えるかもしれないしまた作っていこう」


 いや40万本というと大ヒットしたギャルゲーの元祖“ドキドキメモリアル”シリーズくらいには売れているし、乙女ゲームは10万本ほど売れればヒット作なんだけど、ホムコンの時代は100万本売れることは珍しくない時代なんでな。


 やっぱり女性向けゲームっていうのは、男性向けゲームほどにはゲーム自体は売れないようだからメディアミックスが大事かもしれないな。

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