三日目のスキーは初心者と経験者で随分差が出たな

 翌日三日目はよくあるホテルの朝食の目玉焼きに海苔にヤクルトといったものを食べてから、洞爺湖方面を経由してバスで2時間ほどの日本で一番早く天然雪でオープンする‘中山峠スキー場’へ移動。


 ここは1966年、喜茂別町の第三セクター「中山峠健民センター・宝乗山スキー場」としてオープンした、中山峠に近い標高830mの高所に所在することから、スキーシーズンの営業長さでは道内一二を争うことで知られ、毎年11月上旬から5月のゴルデンウィークの連休までロングラン営業をしているスキー場として人気があったが、2003年には三セクの特別清算に伴い、営業を引き継いだ加森観光は11月から12月の「初すべり期間」と4月から5月いっぱいの「春スキー期間」のみ営業を行い、厳冬季は休業するようになった。


 その理由は中山峠には初心者向けファミリーコース、中級者向けのシルバーコース、上級者用のダウンヒルコースの3つしかコースがないが、車で30分も走れば、リフト、ゴンドラ合わせて18本、総滑走距離42キロを誇る道内最大規模のルスツルスツリゾートがあるからだな。


 通常のシーズン中はルスツ、その前後は中山峠というように棲み分けを図ったわけだ。


「まあ初心者コースとスキー教室があるのはありがたいが」


 さらに全日本スキー連盟公認のスキー学校も設置されているので初心者がスキーに慣れるにはちょうどよかったりもするし、まだ本格的なスキーブームの前でもあり首都圏からわざわざ滑りに来るやつも少ないのでそこまで混んでもいない。


 スキーウエアや板などは一式レンタル出来るしな。


 そしてゲレンデマジックという言葉があるように、ゲレンデという非日常空間でスキーウェアーとゴーグル姿の女性は3割増しできれいに見えるのは事実っぽい。


 そして前日までとうって変わってスポーツ少年の武田くんは実にイキイキしている。


「ひゃっほーい」


「うわ、武田くんスキー上手だね」


「ああ、親父が好きで小さいときからスキーに連れて行ってもらって滑ってたからな」


「おお、めちゃかっこいいぜ」


「ふふ、俺に惚れるなよ」


「いや、惚れないけど」


 まあこういう時はかっこいい男子に女子は群がったりするもんで武田くんの周りには彼にスキーを教えてもらおうというクラスの女子がいっぱいだ。


 後は千葉さんもなにげにスキー経験者らしくてかっこよく滑ってる。


 スキーをやったことがない俺と斉藤さんは同じくスキーをやったことがない浅井さんと合流してスキー教室でぺったんぺったん横移動などを教わってから、スキー板をハの字の形にして滑るボーゲンで恐る恐るファミリーコースを滑走中。


「まあ、初心者の下手っぴはボーゲンでゆるゆる降りていくか」


 俺がそう言うと斉藤さんもうなずく。


「そうね、むちゃして怪我でもしたら大変だし」


「うう、こ、こわいです」


 浅井さんなんかはちょっと涙目だ。


「とりあえず転ぶ時はお尻からをこころがければ大きな怪我はしないはずだし、リラックスしていこうぜ」


「うう、は、はい、がんばります」


 まあボーゲンでゆっくりでも体重移動をするだけでちゃんと曲がって降りられると結構楽しい。


「ああ、なんかスキーが人気ある理由がわかった気がする」


 俺がそういうと斉藤さんは首を傾げた。


「私はこんな寒い所に来てわざわざ遊ぶより本でも読んでいたほうがいいけど」


「まあ、そう言いたい気持ちもわかるけど」


 なんとかスキーに慣れてきた浅井さんは笑っていった。


「で、でも、怖いし寒いけど面白いと私も思います」


 そんなことをなんだかんだやっているうちに陽もくれてきたので、スキーは終了となりスキー場と札幌の中間にある定山渓温泉の温泉ありホテルへバスで移動。


 まあここも団体客向けの格安ホテルっぽいが昨日より食事は良かったかな。

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