神社に付随して幼稚園などを新設しつつ、悪名高い船橋の児童養護施設も買い取ろう

 さて、よくよく考えたら毎月450億円相当の金の収入があれば、別に働かなくても生活できるんじゃないかとふと思ったりもしたのだが、結局なんらかのアイデアをいろいろな手段で実現させるという事自体が楽しいし、おそらく今働くことをやめたら俺が何のために過去にやってきたのかすらも全くわからなくなるから働くことをやめるつもりはまったくない。


「とは言えそれだけの金があれば色々救える命なんかがあるんじゃなかろうか」


 というわけで会長と相談して俺はある施設を買うことにした。


「乳児院と児童養護施設を買いたいですか?」


「ええ、船橋にある恩賜園っていうところなんですけどね。

 そういうところの子供はいろいろな事情で両親などがいなかったりして、学校に行けなかったり、仕事につけなかったりしてるので、どうせならそういう子どもたちがちゃんと学校に行けたり、就職できたりを支援したいんだ」


 児童養護施設は児童福祉法で定められた児童福祉施設の一つで、災害や事故で保護者を失ったり、親の離婚や病気などの経済的事情、虐待や育児放棄を受けているなどさまざまな事情により、家族による養育が困難で環境上養護が必要な0歳から18歳の子どもたちを成人して自立するまで援助を行うことを目的とする施設。


「うーん、それではそれそのものでは儲かりはしないですわね」


「たしかにそうだけど、たぶん将来的にはよく働く社員になってくれると思うよ。

 しかもそこまで遠くない将来にね」


「そうすると、検討の余地はありますか」


「うん、良い子供を育てて、良い大人として働いてもらうっていうのは結構大事だと思うんだ」


「わかりました。

 では、やってみましょう」


「成績が優秀なら施設の児童を特待生として入学させることも検討してくれないかな。

 児童って言っても俺たちと同じ高校生も含むんだ」


「わかりましたわ。

 人材発掘の場所と考えれば悪くないかもしれませんわね」


 実の所この恩賜園という児童養護施設では深刻な事態がすでに起きている可能性が高いんだ。


 それが表面化したのは1995年8月に児童相談所に対し匿名の告発があったことなんだけど深刻な児童虐待がそのとき確認されているんだ。


 だからそれをなんとかしたいんだよな。


「とりあえず一度お話をということで話はつきましたので行ってみましょう」


「ああ、わかった、一旦行ってみようか」


 ・・・・


 その頃冥界の伊邪那美は前田健二に対して強い悪意を持つものの存在を感知した。


「ふむ、あのものらが向かおうとしている施設のものから、強い害意を感じるな。

 一体どういうことだ?

 なになにこの施設は俺の物、この施設にいるやつも俺のもの。

 俺のものを俺がどう扱おうとよそ者にグダグダ言われる筋合いはないだと?」


 どうやらその施設の園長は養護している児童たちに好き放題していることを知られたくないと、向かっている二人に危害を加えようとしているようだ。


「どうしようもないクズどもめ。

 このようなやつらこそ地獄がふさわしかろう」


 唐突に施設の園長や職員たちの足元に漆黒の闇を思わせるどこまでも底が見えない穴が空くと、彼等ははその穴へと転落しその穴の存在が消える。


「なななんだ、一体どういうことだ、ここはどこだ?」


 児童養護施設の園長などが気がつくと女性らしい姿をしているが全身に蛆がたかり、頭・胸・腹・陰部そして両腕と両足に蒼白い蛇をまとった、とても強力な何らかの存在の目の前であった。


「うぎゃー! ば、ば、化物っだ!」


「ふん、どちらが化物だ。

 だが私が力を与えたものに手を出そうとした以上はただではすまぬと思うがいい。

 今より奈落の底に落ち落ちて、永遠の責め苦で狂うことも死ぬこともできずに永遠に心身をさいなまれることになるのだからな」


 伊邪那美は彼らをさらに冥界のはるか下にある地獄へ突き落とした。


「これを見て見ぬふりした者共も全て同罪だな」


 それよりここで行われていたことを知っていたにもかかわらずその事実をもみ消していた、児童相談所及び県児童家庭課の職員たちも地獄へ落とされていったのだった。


 ・・・


 俺たちが児童養護施設に到着した時はなぜかよくわからない状況になっていた。


「え、園長が私達に施設の管理権限を無償でゆずるという書状を残して、いなくなってしまったのですか?」


「はい、このような写真と日誌を残して園長やその家族にくわえて多くの職員も姿を消していまして、私も何がなんだかよくわからないのですが」


 そこには園長たちが今まで行ってきたことが洗いざらい書かれていて、罪の意識により現状にたえられなくなったということになっているが本当だろうか。


「ともかく今後は俺たちがここを管理していいんだな?」


「ええ、そういう事になっていますのでよろしくおねがいします」


 こういった養護施設には子供1人あたり、毎月20万円の補助金がはいってくるがそれを食いものにするやつも多いらしい。


「じゃあ、金はちゃんと出すから、ちゃんとした食事を出したり、まともに学校に行ったり、普段着や制服を揃えたり、給食を食べたり、修学旅行にも行けるようにしてあげてくれな」


「わかりました。

 そうしてもらえるとこちらも助かります。

 私も元はここで育ったものなのでなんとかしたかったのです」


 とりあえず多少はここで養護されている児童たちも安心して生活できるようになるだろうし、将来は俺達の会社で働いてもらえばいいかな。


 なんかこういうところの子供はコートなんかの防寒着すら買ってもらえないとかも多いらしい。


 後は谷津遊園で働いてもらう家族で保育園に入れるほどではない人たちのために幼稚園も作り、子どもたちには運動会場で運動をしてもらえばいいかと思ってる。


「宗教団体付属の幼稚園は非課税だしな」


「ええ、その分安く運営できますわね」


「でも職員の給料はケチったら駄目だよ」


「わかっておりますわ。

 たいていトラブルが起きるのはそういう理由ですもの」


「基本的に男子の面倒は男性が見て、女子の面倒は女性が見るようにして、性的トラブルが起きないようにしつつ、月給25万円くらい出せば結婚して子育てとかもできるかな?」


「そのくらいあれば共働きでやれば大丈夫ではございませんか」


「だよな、後、遊べるようにホムコンとかSAGAマーク3とかを寄付しようぜ」


「そしてゲームに興味を持ってくれれば色々後で捗るということですわね」


「ああ、いやそういうこともあるけどさ。

 多分娯楽に飢えてると思うんだよ、単純に」


 児童養護施設は色々問題が起きやすいし、少しでもそう言った問題が起きないようにしたいものだ。


 そして家庭の事情で養護施設に入って、進学や就職が不利になるという状況もなんとかしたいよな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る