日本各地にある観光名所を電車で巡る電鉄ゲームの作成に取り掛かるか

 さて、AIプログラムが得意な島津さんが加わったことで作成できるゲームの幅が大きく広がった。


 コンピューターが思考する対戦ゲームは色々あるが、特にユニットが多いSLGシミュレーションゲームなどでは特にこの処理速度が大事で、この頃のコンピューターの思考は時間がかかる上に結構馬鹿だったり、逆に強すぎたりして難易度調整が大変だったりする。


「現代大戦争なんかめちゃくちゃ時間がかかるもんな」


 今年の冬になれば発売されるはずのこのゲームは98用ゲームで歩兵や戦車、戦闘機など何種類かずつある戦闘用のユニットを操作して、歩兵で首都を占領するか敵を全滅させれば勝ちなのだが、一つのユニットの移動や攻撃のための思考に何分もかかるから、対戦する陣営やユニットが増えると30分も敵のターンのままだったりするので、その間は非常に暇。


 それでも98の処理能力で多少は早くなってるんだけどな。


 同じようなゲームは昭和58年(1983年)に88用ゲームとしては発売された林田のバトルフィールドというゲームが有ってこれは戦闘機、爆撃機、戦車、歩兵だけの構成でマップがヘックスでなくてスクエアだけど内容はほぼ同じ。


「この手のゲームはマップを広げ過ぎたり、下手にユニットの種類を複雑化させないほうが面白かったりするんだよな」


 そのいい例がホムコンウォーズだろう。


 ホムコンウォーズはあまりマップは広い訳ではなく、生産できるユニットの種類も最初は特に少なくて最終的にもさほど多くはないが、その手軽さが逆に受けたと思う。


「最初はパズルやSLGじゃなくて、すごろく系ボードゲームで行こうと思いますが島津さんはどう思います?」


「そのゲーム内容にもよるだろうけど、パズルだと短時間での判断が必要になってくるだろうし、SLGだとユニット数が増えると大変だろうから良い考えだと思うよ」


「ですよね」


 今年の冬にはACE列車で行こうが発売され、これはアメリカの大統領官邸から別荘までの大陸横断鉄道を、大統領列車の移動も含めて、1年間に建設するというゲームだが、ただ闇雲に線路を引いていくだけではあっという間に経営破綻するから、いかに利益を生み出す路線を建設しながらつなげるかが重要で、パズルゲーム的な要素も大きい。


 ”前”のホムコンにおける桃太郎列車も初代は似たような感じでもあるが、2作目以降は一生ゲームや独占モノポリーゲームに似たタイプのゲームになった。


 最初に全部で何ターンで終わらすかを設定してから出発地の東京から、すごろくで言うところのゴールである到着するべき目的地の駅がルーレットで決められたあと、プレイヤーやコンピューターが順番にサイコロを振り、出た目の数だけ駒である列車を進め、止まった駅によって持ち金が増えたり減ったり、物件を買ったり売ったりして、目的地に一番先に到着すればぐんと所持金が増えるが、最終的に設定したターンの最後に総資産が一番多かった人の勝ちとなる。


 ざざっと絵や文字で書いてゲームの内容を説明する。


「こういうゲームで4人参加を目標にしてるんですけど、どうでしょう」


 そこへ話に割り込んできたのは明智さん。


「あ、それって独占ゲームっすよね。

 自分は兄貴やその仲間の人とよくやるっすよ」


「え、本当に?」


「兄貴は大学のゲーム系サークルに所属してて、いろいろボードゲームやカードゲームも買ってますし、外交ディプロマシーゲームとか、島を開発するコタンとか、パイナップル共和国の私腹を肥やす幹部となるジュンタとか、怪盗を追いかける警察官のイングランドヤードもやるっすよ」


「それは……すごいね。

 一回お兄さんにここに来てもらえるようお願いできないかな?」


 この時代はまだそれらのゲームは日本語に翻訳されていないような気もするんだけどな……そういったものを遊んでればそりゃ英語とかドイツ語も得意になるだろう。


「了解っす」


 大学だとテーブルゲーム研究会やボードゲーム研究会なんかは少なくなくて、明智さんのお兄さんは多分そういうところに所属しているんだろうね。


 ゲームと言えば子供の遊びというイメージがあるけどむしろ、ホムコンなどのコンピューターゲームやビデオゲームが出る前のボードゲームやカードゲームはルールも複雑だったりするので大学生や大人の遊ぶものだったんだ。


 落ち物パズルの対戦仕様やCRPGを早く作りたいけど、まずは電鉄ゲームを作って日本各地にある観光スポットに焦点が当たるようにして、海外に落とされる金が少しでも日本の観光に落ちるようにしたいものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る