ようやく落ちものパズルが出来上がったのでこっちも売り込みに行こう
さて、新しい部員にTRPG製作志望の明智さんが入って俺がやることが更に増えた。
「桃の子太郎世界の細かい世界観、例えば魔法とかはどうなってるっすか?」
「ああ、それはね」
と明智さんがTRPGのシステム的なルールを作る際に必要な情報を明文化させるとか。
「こういうやり取りが私はいいと思いますけど、あなたはどう思いますの?」
「このような感じでどうかしら、イメージ的に合っている?」
とエイサー王伝説のヒロインとの台詞のやり取りを会長や斉藤さんに聞かれたらアドバイスしたりしながら、落ち物パズルのプログラミングをする。
最上さんが描き上げた応援とかびっくりしたりする賑やかしの女の子の絵を入れ込んで、朝倉さんが作ってくれたBGMやSEをいれ、動作確認もする。
さらに途中で止まったり予想外の動作をしないようにしたりをテストプレイ俺自身がしたり、手が空いてる人にやってもらって細かいアイデアを修正しながらも6月半ばくらいにはどうにか仕上がった。
そろそろ誕生日にもなるし、会社設立の話を両親にもした。
「あら、とてもいいのじゃないかしら?」
と母さんは賛成してくれた。
「お前が会社の経営を?
大丈夫なのか?」
と父さんは最初渋ったが母さんの説得もあって両方の承諾を得ることはできた。
「会社組織だのなんだのについても覚えないといけないのは大変だけどなぁ……」
なお、株取引も現物株式取引ならば、親権者の許諾があればできるので問題はない。
実際には親権者の株取引用口座や口座開設者の親権者の続柄が確認できる公的な書類の提出も必要だとかもあるので面倒だがこればかりはしょうがない。
本来、法律的な未成年とは20歳未満のことを指すが、こういった取引の場合は既婚者であれば成年とみなされるらしい。とはいえ、どちらにしても俺はまだ結婚できないしな。
まあそれはともかく連鎖するごとに右側の女の子が吹き出しで「えい」「おお?」「すごい!「いけいけー」「それー」などと言ったり一定以上に積み上がると「まずいまずい」とかゲームオーバーになると「あららぁ」などと言ったりするのはやはり見ていて楽しい。
現状ではボイスデータを入れて再生するとかは容量的にも無理なんでできないけどな。
「これはきっと売れますわね。で、どこに売り込むつもりですの?」
そう聞いてくれる会長さんに俺は答えた。
「アーケードゲームにも移植してもらいたいから羽田にあるSAGAに売り込みたいと思ってます」
俺がそう言うと斉藤さんがうなずいた。
「なるほどそうね、ゲームセンターのゲームにしたほうがお金になりそうね」
「そうとわかりましたら早速アポを取ってみますわ」
会長がSAGAとアポをとってくれたので、後日アポ取りができた日時にSAGAの入ってるビルを訪れた。
「失礼します、本日このお時間でのアポを取っています北条と申します」
「はい、確認いたしました。
応接室へご案内いたします」
「ありがとうございます」
というわけで応接室へ案内されたあとで対応してくれたのは、この頃のSAGAのアーケードゲーム開発者の鈴木雄二氏だね。
「今日はゲームソフトの持ち込みと聞いてるけどゲームのデータはあるかな?」
「はい、こちらにあります」
俺は前と同じようにデータのはいった5インチのFDを手渡した。
「じゃあ少々失礼して中身を確認させてもらうね」
彼はゲームを起動させて早速ゲームを始めた。
「おお、うわ?」
そんな感じで積み上がったところで感想を言ってくれた。
「うん、なかなか面白いね。
もしかしてテト&リスを知ってるのかい?」
「ええ、実は秋葉原で海賊ソフトを手に入れてそれを参考にしました」
「はは、あんまり大きい声で言っていいことじゃないけど、うん、これはヒットするね。
ぜひこちらで扱わせてほしいけどいいかな?
パソコンだけでなく家庭用やアーケードへの移植はこちらがやるよ」
そこで会長が身を乗り出す。
「では、このゲームをそちら様で委託販売させていただくとして、こちらの取り分はいかほどでしょう?」
「そうだね、大山社長と相談しないと駄目だけどおそらく二割になると思うよ」
「なるほど、了解いたしましたわ」
そして社長と相談した結果やはり俺たちの取り分は二割ということになった。
「うん、ではこれで契約成立だね」
「ありがとうございます」
「またアイデアがでたらどんどん持ち込んでくれると助かるよ」
「わかりましたわ。
こちらこそよろしくおねがいしますわ」
というわけで俺達が作った落ちものパズルのジュエルスはSAGAから発売され、パソコンゲーム並びにSAGAマーク3のゲームソフトとして販売されることになり並行してSAGAのアーケードゲームとしても稼働することになるのだな。
とうぜん著作権および商標権は俺の名前ですぐに取得してる。
そしてそれらの売り上げのニ割がやはり千葉経済高等学校ゲーム制作部に売り上げとして振り込まれることになる。
「振込先が私たちが設立する株式会社の口座に変わるかもしれませんのでその時は又お知らせいたしますわね」
「うん、わかったよ。
その時は早めに対応しよう」
そして俺たちが株式会社を立ち上げると聞いても特に変わった様子を見せないのは、ゲーム会社の設立が増えてるからかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます