第23話

年が明けた。


変わり映えのしない生活をしている。

まあ、それが一番なのだが・・・


最初は戸惑っていたここでの生活も、もう慣れた。

今ではこれが当たり前で、以前の生活に戻ると戸惑うだろう。


「私がいなくなると、寂しい?こうへいくん」

雛乃さんが言う。


最初は照れ臭かったが、今ではもう美耶ちゃんというのは、当たり前になった。


リモートで授業を受けているとはいえ、普段の生活のほうが楽しい。


普通なら、未成年の他人の男女が一つ屋根の下で暮らすのは犯罪だ。

多分・・・


普通は、女性がひとりしかいないと、必然的にその人を意識してしまう。

女性側もしかり。


本能的にそうなのだろう。

子孫を残すためには、選り好みはしていられないんだな。


集団の中のひとつだと目立たないが、単独だと目立つ。

お花畑にたくさんの花があると、どの花を摘もうか迷うが、

だだっぴろい野原に一輪しかないと、もうそれを摘んでしまう。


雛乃さんは、まさにそれだ。


だが・・・


今のところ、いかがわしい事は何もない。

キスすらない。


他の住人たちも、パートナーではあるが、異性としての意識はないみたいだ。


でも、ここに来てある程度の事は出来るようになった。


確かに、静養所ではあるが、生活訓練所だな。


ちなみに、姉は結婚した。

貰い手があって、よかったよかった。


「こうへいくん、誤解をといておくわ」

「何?美耶ちゃん」

「実は、私と君とは同い年じゃないの」

「というと?」

「私は、こう見えても、2年休学しているの。病気で・・・」

「つまり?」

「私はもう、成人しているわ。だから問題ない」


納得したが、このことが重要となることを、数日後に知る。



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