第8話

「ねえ、まだ?」

「まだ先。男の子なんだから、がんばりなさい」

「僕は、か弱い」

「それは、女の子の言うセリフ」

「美耶ちゃん、やはりタクシー・・・」

「だめ」


怒られた。


駅を出てから、かなり歩いている。

同じ距離でも、知っている街より、初めての街のほうが長く感じる。

ましてや、ここは完全な秘境。


もし、雛乃さんがいなかったら、完全に今頃は、閻魔さんの裁きを受けているだろう・・・


「ところで、美耶ちゃん」

「何?こうくん」

「その、訓練所の名前は?」

「知らない」

「知らないって・・・無責任な」

「こうくんは知ってるの?」

「知ってたら、訊かない。最初の予定では、車が迎えに来てくれてるはずだと・・・」

「断った」

「勝手な・・・」


これ以上は、やめておいた。


しかし・・・


ちらほらと人をみかけるが、必ず男女ペアだな。

しかも、同世代くらいの男女。


「こうくん、見えてきたよ」

雛乃さんが、指差す。


だだっ広い野原に、ログハウスが建ててある。


もしログハウスが無ければ、かくれんぼと高鬼意外は、何でも出来るな・・・


訓練所の入り口に着いた。

門には、「・・・静養所及び訓練所」とある。


肝心なところは、かすれている。


「こうくん、良い子で待っててね。受付すませてくるから」

「どうも・・・」


雛乃さんの荷物は、バックひとつだった。

持とうとも思ったが、女性にとってバックはポケットと聞いて事があるので、やめておいた。


それが、吉。


ログハウスは・・・18か・・・

微妙な数だ。


いくつかの、ログハウスの前では、男女で作業をしている。


僕を見つけると、軽く会釈をしてくれたが・・・

何か、意味ありげな笑顔だった。



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