男女の軍
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新撰組の
わしはその本堂に、
「で
わしの説明の後、真っ先に口を開いたのはトシ殿である。
「はい。恐らくはオロシャの
ただ無理からぬことやも知れませぬ。ここ
「
芹沢殿が、それでどう闘うのか? と聞いて来た。それに島崎殿が反発し、
「二本の刀があるではないか。斬り合いに持ち込めば夷狄には負けぬ」
と胸を叩くと芹沢殿は、
「どごで
まさが、京の
と睨みつける。すると島崎殿は腰の刀を左手で握り、
「我らは、天子様をお護りする為にここに居る。故に、天子様の
と睨み返す。
水府の学問では、
対して、
「お二方! オロシャの兵は迫って居りまするぞ!」
わしは身体を二人の間に差し込んで、押し分けて言った。
「危急に際し、争って居る暇はございませぬ」
そして島崎殿に投げ掛ける。
「確かに、
されどそのようなことをすれば、夷狄には町人も町人も区別付かぬ為、オロシャの兵の標的に為ってしまうことでございましょう」
苦言を呈して芹沢殿の危惧を代弁する。
「かつて、京の都を戦場とした者が天子様のお褒めに
もしも
わしの言に、座はキンと響くが如く張り詰める。しかし直ちにそれを破ったのはトシ殿であった。
「登茂恵っち。お
「勿論にございます」
凛とわしは請け合って、大まかな作戦を皆に示し始めた。
「昔は女も太刀
論より証拠。日本書紀を紐解くと、神武東征に
わしは目の前に開いた史書の権威を借りて作戦を説く。
しかしここに国学の専門家は居ない。素直に女の軍と言う言葉通りに解釈してくれることであろう。
「その時の作戦を紐解かば、先ず女軍が
我を侮らせ、敵の
遠く離れて鉄砲を撃つは、何も立派な武士で無くても務まりまする。女子供でも、良き働きを為さしめる事は容易うございます。
しかし、鉄砲だけでは守れても攻め切る事は難しゅうございます。崩れて逃げ掛かる寸前の敵に肉薄し、これを討つのは、女子供には荷が勝ち過ぎまする。
最後の決は、やはり男の中の男の仕事。島崎殿や芹沢殿、あるいはトシ殿や沖田殿が如き、一騎当千の
「成程。確がに道理だ」
「手柄を譲って頂く形になり申すが、登茂恵様はそれで宜しいのか」
賛意を示す芹沢殿と、こちらを気遣う島崎殿。
ここでわしは、
「
そう、芹沢殿の方に向かって
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入院の一時帰宅に付き、予約公開いたします。
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