桃源の夢醒めし時
●桃源の夢醒めし時
河岸を変えて、
今回は見物の桟敷を作り、誰でも見物出来る場所を設けると同時に、矢来を立てて演習場の境を明確にし、
――――
見物勝手 内者死地也
――――
矢来より内側は危険であるとの札を立てた。
そして一般席から隔離された貴賓席には、
因みに、現在の山之内家当主・
開始時刻と成った時。矢来の外は鈴生りの見物人。こちらも弁当下げて
「これより鉄砲の部にございます。
散兵の指揮は、狙撃隊の
隊士には予備隊の、つまり訓練を始めて間もない乙女殿ら土州の女も混じっていた。
「小隊。着剣!」
信殿が号令を掛ける。実戦想定なので、先ずは銃剣を付けたままの装填・発射の繰り返しを見せるのだ。
「弾込めぇ!」
指無しの革手袋を嵌めた女性隊士が一斉に、早合を使って銃剣の着いた鉄砲に弾を込めて行く。目は前方を睨み、鉄砲は見ていないと言うのに。三つ数える間に突き固め、更に三つ数えぬ内に点火薬と雷管を込め終わった。
「構えぇー。撃てぇ」
土手に向かって一斉射撃。
「弾込めぇ!」
先程の繰り返し。凡そ一分に六発の早さで射撃を続けて行く。
「東洋。早いではないか」
「はい。種子島は名人でも十五数える毎に一発。されど
しかも混ざっている土州の女は、修練を始めて幾らも経って居りませぬ。熟練の者だけで行うならば、この差はもっと開きましょう。未熟な者でこの早さならば、中てる腕は拙くとも敵を寄せ付けぬ働きは叶いましょう」
東洋殿から想定通りの感想が返って来た。
続いて、匍匐前進での移動や
続いて
馬から降りて撃つ、竜騎兵運用時点で目を
馬は生来の臆病者なので、連発銃よりも、寧ろ鉄砲の音をものかわはとしない馬の存在に愕然としたのである。
「
土州侯様のご下問にわしは、
「
「うむ……。酒は止めじゃ。水を持って参れ」
土州侯様は酔いを醒まそうと、小姓と言う名の中年男に命じたのであった。
「これより
別の名を
貴賓席に向かい説明すると、わしは号令を下す。
「幸筒、発射用意……。発射!」
砲口から弾を落とすと、ポム! 一基の幸筒が火を噴いた。
着弾し、ズズンとお腹に響く音。巻き上げた土煙の収まった時。そこには大穴が穿たれていた。
「炸裂弾か。小さくとも侮れぬのう」
酒に替えた清水の盃を止め。三町先を見る土州侯様。
「幸筒、速射! 十連!」
号令と共に矢継ぎ。発射音が繋がる秒間二発の早撃ちだ。
現在。恐らく全世界を見渡しても。中に落とすだけで発射できる幸筒にのみに許される驚異的な速射能力に、貴賓席の皆様は固まった。
黒く
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