所有と経営3
●所有と経営3
「これは。銭を使った異国との
わしは歌う。
――――
♪六十余州を 治める
その
行く手遥けし 千里の波
行く手遥けし 千里の波
海の
♪いとども
その
いざや捉えん 万里の風
照り
いざや捉えん 万里の風
八島の民の
地の
――――
威勢の良い歌謡は、理由も理屈も吹き飛ばす。
本当は昼ではなく、夜に松明の灯りでやればもっと良いのである。しかし、この程度でも、慣れぬこの時代の人々には刺激が強かった。
我らの動きを睨みつけていた町方さえも、気が付けば唱和の河に流されている。
職人達も商人達も、野次馬も瓦版屋も。それどころか、わしの遣り口に慣れて来た
ここに集まった職人も商人も。自分達がその先兵であることに誇りを感じている。
因みに株の話だが。何を以て純利とするかまでは詳しく説明はして居ない。しかし当然、開発費や建物の建設維持費などは費えとして計算するに決まってはいるがな。
いずれにせよ。実質的経営権はあちらにある。大株の半数は国益を損なう場合の
こうして盛り上がったその後で。わしは
わしらは大樹公様のご意思に
果たして町方の眼が変わった。
お伊能殿を再び捕縛しようとしていた連中は特に、襲撃に遭った中将様の感状は猛烈だった。
もう何を信じて良いか判らぬと言った態。一気に気が抜けてぽかーんと埴輪のように大口を開け、脱力の余り地べたに座り込んでしまった者もいる。
「そろそろですね」
わしの読み通りならば、そろそろだが……。
「町方の者! 上意である!」
早馬を飛ばして遣って来たご使者は、腑抜けた町方に大樹公様の命令を継げた。
やれやれ。そっちが先に来てしまったか。
それは当然、大樹公様でも無視できない方々のご意向を含んだ命令であった。
町方の者がしおしおと、職人と商人が大手を振って帰ってより
騎乗の役人が、馬を引かせて供を連れ、真っ直ぐとこちらに向かって来た。
「
呼ばわる役人は、大樹公様の書状を携えて来た。
来た。果たしてご府中に来ている諸外国の公使や領事に提出した特許申請は、どうなったであろうか?
相互主義以前だが、日付は明らかにこちらの方が先に為る筈だった。
もしも我らを侮り、受け取りを拒否したり改竄したりするならば、実力行使も考えてある。
なお翻訳その他は、
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