第1話 『怒りの動物模型工房』      全28話。その18。


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「いや~無理を言ってすいませんねぇ~池ノ木さん。何だか押し掛ける用な形になってしまって」


 時刻は十八時十分。外はすっかり暗くなり、家々の灯火ともしびが周囲を照らす頃。勘太郎と羊野は、池ノ木が今現在住んでいるアトリエ付きの家へとたどり着いていた。


 先程までいた蛇園では二時間四十分にも及ぶ小島の(無駄な)蛇話を聞く羽目になってしまったが、幸運にもたまたま臨時のバイトをしていた池ノ木に会うことが出来たので二人はそのまま池ノ木が暮らす自宅まで何とか案内して貰う事に成功する。

 半ば強引に家まで着いて来たので池ノ木の表情は暗く不満その物だったが、勘太郎と羊野は敢えて気にしない素振りをしながら目の前に広がる光景に何度も周りを見回す。

 それというのも現在池ノ木が住んでいるこの借家はちょっとした大きな工房兼アトリエになっており、その年季ねんきの入った古い木材の爪痕つめあとが倉庫内の至る所に残る……そんな古めかしい物件だ。


 何でも昔は個人経営を営む大工の頭領が使っていたと言う話なので、見たことの無い様々な工具や古い工作機械が眼前に並ぶ。

 そんな少し暗い工房内では様々な動物達の等身大の模型が作られており、そのいずれの作品も棚の上や床の上などに隙間無く飾られている。その数は優に数百体は軽く越えるとの事だが、勘太郎は内心その作品の多さにかなり困惑している用だった。


 確かにここに飾られている一体一体の動物達は皆まるで本当に生きているかの用で凄いとは思うが、勘太郎は敢えて心の中で絶叫する。


『動物の模型であふれているこの部屋の状況って……これじゃまるで先程までいた小島晶介が経営する蛇園と対して変わらないじゃないかあぁぁ!』と。


 そんな事を思いながら勘太郎は、動物模型を精巧に作る池ノ木の完成度の高さに素直に称賛しょうさんの声を上げる。


「おおぅ、凄いなあ。さっき蛇園で小島さんが言ってた通りだ。このアトリエには色んな動物達の模型が置いてあるんですね。見るからに迫力があって正直驚きましたよ。それにあの大きな魚類は大型種でもあるイタチ鮫の模型ですよね。しかもここにあるどれもが全て等身大の生き物の大きさを模して作られてあるこだわり用だ。これは見ているだけでも迫力が伝わって来ますよ。流石は演劇えんげきや映画制作会社で大道具係の仕事にたずさわっていただけの事はありますよ!」


 部屋の壁に飾られている鮫・鹿・虎・熊……等々の様々な動物達の模型を見ながら勘太郎は、その緻密ちみつで精巧な物作りの才に正直驚愕しょうじききょうがくを覚える。まさかここまで精巧な代物を作れるとはと。


村人の話では、草薙村に住み付く以前は東京の何処かの劇団や映画会社で大道具係として働いていたらしいが、まさかその若さでこれ程までに本物そっくりな動物たちの模型を作り上げてしまうとは、正に鬼才と言うほかはないだろう。

 それにこの精密且つ精巧な物作りからも分かる用に、彼の性格は几帳面で真面目で何事にもコツコツと仕事をするタイプの用だ。そのこだわりと集中力はこの動物達の模型を見ただけでも一目で想像がつくくらいだ。だからこそこれだけの作品達を作り上げる事が出来るのかも知れない。

 まあ、あの切れやすい若者特有の偏屈へんくつさだけはいかがな物かとは思うが。


 そんな池ノ木にも唯一曲げない彼だけの心のいましめ。ルール。即ちポリシーの様な物がある。それは自分が制作する動物の作品には絶対に本物の動物の体は使わないと言う点だ。つまり動物の毛皮や羽、もしくは角や甲羅のような外殻、骨などがそれに当たる。


 つまり現代の化学的素材や材料だけを使い、極めて精巧に熱意を持って作品を作り上げる。それが本物の動物模型芸術家だと言うのが彼の一貫いっかんした信念しんねんの用だ。なので彼曰かれいわく『これは動物を模倣した作品であって、決して剥製はくせい標本ひょうほんと言った類いの物では無い』と言うのが彼の口癖だ。

 そんな自慢の(偽の)動物たちに埋め尽くされたアトリエの中で勘太郎と羊野が一番驚いたのは、宙に浮かぶ大きなくじらの模型だ。


 大きさからして十数メートルはあるであろうその鯨の模型は、優にこの部屋の半分以上は絞めていると思われる。そんな鯨の各部分には細長いワイヤーが数本程取り付けられており。そのピーンと張られた強固な長い線はそのまま高い天井へと繋がっている用だった。


 勘太郎の目測もくそくでは、この建物は床から天井までの高さが十メートルくらいはあると思われるので、鯨の設置されている高さはその半分の五メートルくらいだと推察する。そして勘太郎の頭から鯨までの距離が約三メートルくらいなので、それくらいの高さがあれば決して邪魔にはならないだろうと言うのがここの家主の考えだ。

 とはいえ、少々の部屋の狭さは覚悟しなけねばならないのだが……。


 そんな事を思いながら勘太郎が大袈裟に巨大な鯨模型の事を絶賛していると、少し機嫌を直したのか池ノ木は酷く赤面しながらたどたどしく口を開く。


「そ、そんなにジロジロと見るなよ。こんなのは普通だよ……普通。俺達の業界じゃ大した事はねえ~よ」


 そんな言葉が池ノ木の口から漏れるが、どうやら勘太郎から出た褒め言葉はまんざらでもなかった用だ。

そんな池ノ木の表情を見て今なら行けると確信した勘太郎は本来の仕事でもある聞き込みへと持ち込もうとするが、そこへ割り込んできたのは斜め後ろに控えていた羊野の方だった。


羊野が被る白い羊のマスクの眼光がカアッっと不気味に光る。


「これは随分と精巧に作られた見事な鯨ですわね。皮膚の材質は硬質ウレタンを使った素材ですか?内側の部分は合成樹皮のラテックス……つまり液状ゴムを使った仕上がりになっていますね。この素材は特撮映画の怪獣にも使われているみたいですから皮膚の硬質感を実現させるにはいい代物だと思いますよ。そしてこの鯨の推定全長は約十二メートル。その独特の形や姿からして、この鯨のモデルは恐らくはマッコウ鯨を意識して作られたのではありませんか。でも大きさがやや小ぶりの用なので子供のマッコウ鯨でしょうか。何せ大人のマッコウ鯨は更にその倍は大きい見たいですからね」


 その何気ない羊野の言葉に池ノ木が鋭く反応する。


「ああ、そうだよ、よく分かったな。あんた鯨には詳しいのか」


「いいえ、ちっとも。ただ少しだけ雑誌か何かで見た記憶があるだけですわ」


「そ、そうか。なら俺が少しだけこの作品の事について説明してやるよ。確かにあんたの言う用にこの鯨はマッコウ鯨をモデルに作った作品だ。全て一人で手作業で作ったから完成までに半年ほど掛かった力作だ。本当は二十メートル級のザトウクジラや最大全長二十五メートルから~三十四メートル級のシロナガスクジラを作りたかったんだが、何分このアトリエには入り切らないもんでね……仕方なくあの大きさのマッコウ鯨を作る事にしたんだよ。敢えて実物大と同じ大きさにこだわって作るのが俺のポリシーだからな」


「この床下に僅かに落ちている粉の様な物もこのマッコウ鯨の物ですか?」そういいながら羊野は下に落ちている僅かな粉末の素材を指で拭い、その粉を確認する。


「あ、ああ、すまない。何分ここはアトリエ兼工房でもあるかなら。もしかしたら昨夜の作品を作っている時にウレタンか合成樹皮の粉が飛んだのかも知れないな。これでも小まめに徹底して掃除はしているつもりなんだけどな。まだ汚れていたとは……だから事前のアポ以外でここに入れるのは嫌だったんだよ」


「いえいえお構いなく。無理言ってここへ来たのは私達ですし……それにこのアトリエは黒鉄さんの部屋に比べたら百倍は綺麗ですよ」


 おいおい、何気に上司を議するのは止めろよな~と思いながら、勘太郎は何気なく周りにある機械類を見る。

部屋の隅には作品を作る為に使われていると思われる様々な工作機械が並び、一つの工場と化していた。だがそれとは対照的に村人達から聞いた話では、寝泊まりする空間はアトリエの隅にある小さな六畳の部屋しか無いとの話なので、殆どの生活場所はこのアトリエの工房だけと言う事が一目で推察できる。そんな部屋の中で勘太郎は本棚に並ぶいくつかの本や雑誌の背を確認する。

 置かれている本の背を順番に見てみると、バイク備品のカタログ関係の本や特撮技術関係の本が並び。その下には工作技術関係の本に美術関係の本や乗馬入門の本などが続く。


 やはり芸術家なだけあって特撮技術関係や工作技術関係の本が多いな。そう言えば昨日宮下も言っていたが、池ノ木は少し乗馬もたしなむんだったよな……乗馬入門の本もあるし。それとバイクの備品のカタログか。しかし随分と古いカタログだな。表紙の紙の部分がかなり痛んでいるから恐らくは古雑誌だな。捨てようと思っていたけど捨てる機会が中々なかったから今まで捨てられなかったと言った所か。まあ、古雑誌って何気に溜まりやすいからな。


 そんな事を思いながら何気に古いカタログの日付を見ると、既に十数年前に発行されたバイクの備品会社のカタログが目に入る。

 発行日は二〇〇六年の四月か。今は二〇一八年だから十三年前のカタログと言う事になるな。しかし随分と古いカタログを持っているな。確か池ノ木は自身の交通手段にバイクを持っていたな。先程このアトリエにお邪魔する時に、玄関前に黒っぽいバイクが止まっていたのをチラリと見たからな。まあ、自動二輪で走るのが好きなバイク好きなら別におかしくは無いのだが、あのバイクの型って確か……蛇神神社の駐車場入り口前に仕掛けた隠しカメラに映っていた黒いバイクにかなり酷似している。しかも二十一時四十五分に現れたその人物は黒いフルフェイスヘルメットを被っていたので顔の確認は出来なかったが。今ここでその事を質問するだけで池ノ木当麻のアリバイが決まると言っても過言では無いだろう。


「しかし、バイクってそんなにいい物なのかな。車やバイクを運転した事の無い俺にはさっぱりわからんのだが?」


 勘太郎は目の前にあるバイク関係の雑誌に手を掛けながら一通り目を通す。何故なら羊野に会話の流れを持って行かれた事で出鼻を砕かれてしまったからだ。なので態とらしく何かを調べている素振りをする。

 そんな工房部屋の中央では遂に羊野が池ノ木に事情聴取を始めようとしていたが、ある物に目が止まり一時話題をそちらに返る。


「この部屋の端にある薄い布団の様な物はもしかして寝袋ですか。まさか池ノ木さんは登山などもされるのですか?」


「いやいや、あれはこのアトリエの中で寝る為の物だよ。この狭い部屋の中では流石に布団は引けないからな」


「お部屋では寝ないのですか」


「俺に至っての話だが。結構アイデアは深夜に浮かぶ時が多いから出来るだけアトリエの中で寝る事にしているんだよ。直ぐに作品に取り掛かれる用にな」


「そうなんですか。芸術家さんも結構大変なお仕事なんですね。しかし寝袋ですか……何だか気持ち良さそうですね。私も一つ欲しいですわね」


 羊野はその繊維せんいの柔らかさを確かめるかの用に寝袋を触っていたが、本来の仕事を思い出し慌てて事情聴取を開始する。


「池ノ木さん、貴方も既に人づてに聞いて杉一郎さんの死亡時刻は知っていると思いますが……一応その時の貴方のアリバイを聞かせて下さい」

「杉一郎さんが亡くなったのは、確か昨日の十九時から~二十一時までの間の時間だよな。だが俺のアリバイはお宅らが一番よく知っているんじゃ無いのか。何せあの時間帯に俺はあんたらと民宿で直接会っているからな。俺達があの民宿に来たのは十九時二十分くらいで~その後民宿を出たのは二十一時十分くらいだから、当然蛇神神社にいた杉一郎さんを殺害する事は俺には不可能だぜ」


「確かにそうみたいですね。では二十一時十分以降はどうしてましたか?私達はそこの所が知りたいのですが」


 その羊野の言葉に心なしか池ノ木は動揺する。恐らく昨夜の二十一時四十五分に蛇神神社のある駐車場に行った事を、言おうか言うまいかを迷っているのだろう。

 勘太郎と羊野はもう既に池ノ木当麻が二十一時四十五分に駐車場に現れた事を知っているので、敢えて訪ねているのだ。

 

「そ、それ以降の事だと……何でそんな事を聞くんだよ」


「いえいえ、参考までにちょっと聞いておきたいと思いまして……」


「何処にも出かけてないよ。草五郎社長の付き添いを終えて二十一時二十分くらいに大沢家の屋敷に戻った後は、そのまま歩いて家まで帰ったからな。その後はアトリエで朝まで創作三昧さ」


「本当に……何処にも出かけ無かったのですか」


「ああ、何処にもな。だからアリバイは当然無いぜ」


 そう言い切る池ノ木に、羊野は態とらしく困った感じで言う。


「う~ん、それはおかしいですね。昨夜の二十一時四十五分に蛇神神社の駐車場の入り口付近に一台のバイクが入って行くのを入り口付近に仕掛けていた隠しカメラがしっかりと捉えていたのですが、この田舎町では先ず見られないバイクみたいなんですよ。大型の自動二輪は乗る人が限られますからね。あ、そう言えば確か池ノ木さんの所有するバイクはホンダのCB1100ロードスポーツブラックでしたよね。貴方の乗るバイクと駐車場に現れたバイクは同じ形のバイクだったと記憶していますがどう思いますか。何なら確認の為にその映像をもっと詳しく解析してナンバープレートを調べてみたいと思うのですが……何か言いたい事はありますか」


「な……っ!」


 羊野のその指摘に池ノ木は思わず絶句したが、流石に観念したのか今度は言い訳めいた言葉を並べる。


「たく、仕方が無いな。まさか見られていたとはな、やっぱり嘘はつく物じゃねえな」


「あの隠しカメラに映っていたバイクと人物はやはり池ノ木さん、貴方でしたか」


「ああ、そうだよ。ご推察の通り蛇神神社のある駐車場に行ったのはこの俺さ。時刻はあんたが言っていた用に二十一時四十五分だったかな。実は俺、杉一郎さんからメールでその時間に駐車場に来いと言われていたんだよ。疑うんだったらその証拠の着信メールもあるから見て見ろよ」そう言うと池ノ木は自分のスマホに保存されている着信履歴を羊野に見せ、自らのアリバイを証明する。


「なるほど、確かにその着信アドレスは亡くなった大沢杉一郎さんのスマホからの物ですね。送信された時間は……十七時三十八分ですか……」


「ああ、そうだよ。その時刻はまだ杉一郎さんは生きていたんだから彼の送ったメールに間違いはないだろう」


「小島さんにも言いましたが、そのスマホを杉一郎さんご自身が使っていたとは限りませんがね」


「だが、これで俺への疑いは晴れただろう。何せ俺はこの時には草五郎社長に頼まれた書類を届けに隣町にいる草五郎社長の所までバイクを走らせていたんだからな。バイクで大沢家を出たのが十七時丁度で……隣町にいる草五郎社長に書類を届けたのが十七時三十分。そしてそのまま大沢家へ戻った時刻が十八時丁度だから俺が何処にも寄り道をしていない事が分かるだろう。それに俺がバイクで大沢家を出る時……確か杉一郎さんはまだ大沢家にいたと記憶している。なので家を出たのは俺の方が早かったんだから俺には歴としたアリバイがあるだろう」


「うう~ん確かに、草薙村から蛇神神社に通じる駐車場までの距離が車で約十五分。そしてその駐車場から隣町までの距離も約十五分ですか。合わせて三十分。確かにこの時間だけでは杉一郎さんを誘拐し、何処かに拘束する時間は無いみたいですね。それにその話が本当なら隣町で書類を受け取った草五郎社長が証人となってくれるでしょうからね」


「だからそう言ってるだろう!」


「ですが杉一郎さんの方もその後、貴方が十七時に隣町に行ったその直ぐ後に何処かに出掛けられているみたいなんですよ。目撃したお手伝いさん達の話では何だか急いでいる様子だとも聞いています。もしもその時杉一郎さんが誰かに呼ばれて蛇神神社に行っていたのだとしたら、その相手は一体誰なのでしょうか。あ、そう言えば杉一郎さんがお亡くなりになったあの蛇神神社は、池ノ木さんが隣町に行く際に通り過ぎる道と同じ方角ですよね。これはあくまでも私の邪推なのですが、もしも杉一郎さんを呼び出したのが池ノ木さん、貴方なのだとしたら、待ち伏せするくらいの時間は当然あるのではないかと思いましてね」


「俺が杉一郎さんを待ち伏せして蛇神神社内で殺したとでも言いたいのか。だがそれは不可能だぜ。神社に行った杉一郎さんを追って駐車場から蛇神神社に上がって、杉一郎さんを十九時まで何処かに拘束する事なんてとてもじゃないがたったの三十分で出来る事じゃないぜ。ましてや黒い大蛇を使った殺しなんて、そんなの絶対に不可能だぜ。何故なら俺はアミメニシキヘビとはお友達じゃ無いからな!」


「……?」


 確かに池ノ木当麻の意見は最もだが、そんなのは羊野だって初めから分かっていた質問のはずだ。何せ駐車場入り口前にはあの特殊班の刑事達が仕掛けた隠しカメラが仕掛けてあったんだからな。そこから分かった事は、大沢杉一郎が死亡するまでの時間帯は(十九時三十分に日産のセレナに乗って来た大沢宗二郎以外は)誰一人としてあの駐車場を訪れた者はいないと言う事実だ。なので大沢杉一郎の殺しには少なくとも池ノ木当麻は関わってはいない事は既に証明されている。いるのだが……でもその後池ノ木当麻は二十一時四十五分に杉一郎に呼ばれて駐車場に行った事実を何故か隠していた。何故その事実を隠そうとしたのかは知らないが、羊野はこれから更にその事実を付いて行くだろう。そんな考察をしながら勘太郎は羊野の取り調べを暖かく見守る。


「なるほど、隠しカメラを仕掛けた十七時丁度。この時貴方も隣町に行くためにバイクを走らせていたようですが、確かに蛇神神社のある駐車場を訪れてはいないみたいですね。もし貴方が杉一郎さんに会う為に蛇神神社を訪れたのなら、隠しカメラの存在を知らない貴方は必ずこの隠しカメラの前を通る以外ありませんからね。そしてその後、貴方が駐車場を訪れたのは、杉一郎さんの死亡推定時刻が当に過ぎた二十一時四十五分の時間帯です。会いに行ったその理由は十七時三十八分に杉一郎さんからメールがあったから、それで間違いありませんね」


「ああ、そうだよ」


「確かにそれらしいアリバイがあるみたいですね。十八時に大沢家に戻った後は大沢草五郎社長が戻る十九時十分まで馬小屋で馬の世話をしていますね。その後の十九時二十分頃には大沢草五郎社長に付き添って宮下達也や小島晶介らと共に私達のいる民宿に来ていた訳ですから、蛇神神社内にいた大沢杉一郎さんを殺害するのは当然不可能というのが貴方の主張ですね」


「何だよ。俺が隣町へ出掛けた十七時から~帰って来てからの十九時十分までの事はもう既に知っていたのかよ」


「ええ、大体の事は赤城刑事さんから聞いていますわ」


「なるほど、大沢家のお手伝いさん達から既に話は聞いていたと言う事か。クソ、知っていて俺にカマなんか掛けやがって!」


「ホホホッ、態と話を聞いて相手の矛盾を調べるのは警察や探偵の基本だと思いますよ」


「まあ、あんたの場合、何故かそれを楽しんでいる用にも見えるんだけどな」


「そんな事よりです。なら何故貴方はついさっき駐車場に行った事を即答しなかったのですか。わざわざ駐車場に行った事を隠すような素振りまでして。こんなに完璧なアリバイがあるんですから逆に隠すことは余計な疑いを煽る結果になりますよ。もしかしてまだ私達に何か隠している事があるのですか?」


「何なんだよ、あんたは一体。そんなに俺を犯人にしたいのかよ!」


 羊野の人をうたぐる様な言葉に池ノ木さんはかなりイライラしている用だったが、これも疑いを解く為の試練しれんとばかりに必死に我慢をしている用だ。そんな池ノ木の思いなどはお構いなしに羊野は直ぐさま次の質問に移る。


「二十一時四十五分。池ノ木当麻さんが杉一郎さんに会いに来たのはやはり金銭絡みの事ですか」


「ああそうだよ。恥ずかしい話だが……実は俺、大沢早苗が営む高利貸しの会社に五百万円の借金があるんだよ。都内に個展を出す時に色々と物入りだったからな」


「個展ですか?」


「ああ、続けて個展を出す為にはどうしても必要だったからな」


「池ノ木さんは二年前から大沢農園株式会社で働き、そしてそのまま草薙村に移り住んでいますよね。どうしてこの村に来たんですか」


「まあ、都会暮らしが性に合っていなかったと言った所かな。それに何の運命の悪戯かは知らんが、東京の個展でたまたま大沢夫婦と知り合うことが出来たから今俺はここにいるんだよ」


「それはたまたま東京に来ていた大沢夫妻に貴方が気に入られて、その後この会社にスカウトされたと言う事ですか」


「ああ、最初は芸術活動の為にお金が無くなった俺を見かねた草五郎社長が『草薙村に来てみないか』と言ったのが発端なんだが、この緑生い茂る大自然の中で思いっきり動物模型作りをしてみるのも悪くないと思ってな、だからここで働く事にしたんだよ。だが一番の理由は動物模型を作る為の理想的な(アトリエ)工房がこの村で見つかった事かな。それに借りたお金の金利や利子も格安にしてくれると大沢早苗婦人が言ってくれたんで、本当に助かってるよ」


「へ~え、奥方の大沢早苗さんから金利や利子を安くして貰ったんですか」


「ああ、そうだよ。二年前、東京で小さな個展を出していた時にたまたま東京に来ていた大沢草五郎社長と奥方の早苗さんが俺の個展を見てくれていたんだよ。そこで俺が作る動物模型の作品を偉く気に入ってくれた大沢夫妻はその後俺と意気投合する事になるんだが、近い内に俺がまたお金を貯めて動物模型の作品を出品したいと冗談めかしに言ったら、だったら家で働きながら作品作りに勤しんだらどうだと言ってくれてな。俺は夫妻に言われるがままにこの草薙村に来る事を承諾したんだよ。何せあの頃は本当にお金が無くてどうしようかと思っていた時だったから。なので仕事にありつけて本当に渡りに船だったと思っているよ。その一年後には大沢早苗婦人が格安で本当にお金も貸してくれて、小さいながらも再度個展を出す事も出来たしな。それに今は借りた借金だって順調に返しているし、特に借金絡みで大沢家を恨む理由なんて何処にも無いぜ!」


「なるほど、なるほどね」


「全く……俺なんかよりも宮下達也や小島晶介、それに蛇野川美弥子の方を疑った方がいいんじゃ無いのか。宮下達也は蛇神神社の末裔でもある蛇野川美弥子に異常なまでの信仰を抱いているみたいだが、その一方で蛇野川美弥子を毛嫌いしている大沢家の人達には内心それ程言い感情は抱いてはいなかったはずだ。それに小島晶介はあの蛇園を更に増築ぞうちくする為に更なる借金を申し出でていたが結局は断られたらしいし、その事でかなり不満を漏らしてたと他の従業員達が噂していたぜ。そして問題の蛇野川美弥子だが、彼女の事は正直よく分からない。確かに大沢家を恨むだけの動機はあるみたいだが、彼女自身は全くと言っていいほど大沢家から動いてはいない。何せまだ高校生の彼女は帰宅後直ぐに家の手伝いをみっちりとさせられているみたいだから、誰かと会っている時間なんて全く無いと思うぜ。なので彼女のアリバイは立派に成立していると思うんだが、だからこそ俺は逆にそれが怪しいと思っている」


「逆に怪しいですか。まさかそれは村人達や大沢家の人達が噂している、蛇野川美弥子さんが持つ謎の不思議な力の事ですか。それについてはどう考えているのですか」


「不思議な力か……確かに彼女には不可思議な事が多過ぎるぜ。人の死を予言する占いや、彼女を苛めると必ず起こるとされる蛇神様に纏わる呪いとかな」


「何でも美弥子さんを苛めると、次の日の朝には蛇の死体や抜け殻と行った嫌がらせが必ず起こるそうじゃないですか。過去には生きた蛇が大沢家の家の中を何匹も徘徊していたとも聞いています」


「ああ確かに、昔はそんな事もあったみたいだな。俺は二年前からの事しか知らないから何とも言えんが、それでも彼女が何らかの力で守られている事だけはヒシヒシと感じるぜ」


 そう言うと池ノ木は額から零れる汗を手で拭いながら不安げな顔を向ける。そんな池ノ木の怯えにも似た弱気な態度に、今度は今まで黙って見ていた勘太郎が話の話題を変えてすかさず話し掛ける。


「話は変わりますが池ノ木さん、この動物達の模型の作品はどれも素晴らしいですね。正に作り手から命の息吹を貰ったかの用な力強さを感じます。作りも本物と見間違うくらいに繊細で手が込んでいますね」


「ええ、正に黒鉄さんのおしゃる通りですね。これ程の精密な物作りは本当に好きな人じゃ無いと出来ないと私も思いますわ。池ノ木さん、この物作りに関しては貴方はかなりいい仕事をしていますね。本当に感心しますわ」


「な、何だよ行き成り。ほ、褒めたって何も出ねえぞ。それにもういいだろう。俺の工房も見せたし、更には質問にも答えたし、もういい加減帰ってくれませんかね。今から俺は杉一郎さんの葬儀の方も手伝わないと行けませんので」


 勘太郎と羊野の大袈裟な褒め言葉に池ノ木は一瞬まんざらでもない表情を見せたが、一刻も早くこのアトリエから出て行ってもらいたい池ノ木の心が雑な態度として言葉に表れる。だが毎度の事ながら敢えてそれらを無視する勘太郎と羊野は、互いに言葉を合わせながら池ノ木を追い込みに掛かる。

 先に口火を切ったのは黒鉄勘太郎の方からである。


「でも~こんな精巧な等身大の動物たちをここまで忠実に作れるのなら……あの蛇神神社に出没する殺人大蛇だって、もしかしたら貴方なら簡単に作れるのではありませんか?」


 池ノ木の趣味や経歴を知った者なら誰もが一度は考えるであろうその問に、池ノ木は深い溜息を付きながら言い返す。


「はあ~、話の流れからして恐らくはそう来ると思っていたぜ。だからこのアトリエをお宅らには見せたくは無かったんだよ。言っておくがいくら俺だってあんな大きな蛇は作った事は無いし、実際作れるかどうかも分からないぜ。それにもし仮に模型の大蛇を作れたとしても、カラクリ仕掛けで動く大蛇なんてそんなのは流石に作れはしないぜ!」


「実際、本当に作れないんですか?」


「まあ、鯨も作ってるから……実際には作れないことも無いんだが。もし俺が犯人だとして大蛇の模型を使って犯行に至ったとしても、先ず疑われるのはこの俺になってしまうだろう。そうなるのが分かっていてなんで俺が率先して大蛇を作らないと行けないんだよ。必ず疑われると分かっていて作るなんて本末転倒だぜ。それに俺は大蛇は作ってはいない。一年前は確かに草五郎社長に頼まれて黄金色のド派手な黄金竜を作ったりもしたが、伊藤松助さんが大蛇に殺されてからは、今は自粛をして長物は全く作ってはいない。それに仮にそんな大蛇の模型があったとして、どうやってそんな長くて大きな大蛇を持ち運ぶんだよ。実際そんな物で人は殺せないぜ。何せ大蛇の形はしていても偽物の大蛇に変わりは無いんだからな」


 確かに池ノ木の言っている事はもっともな意見だ。

 胴回りが八十センチ・全長が十数メートルもの大蛇のカラクリ模型をもし車に積んで持ち運んでいたら必ず誰かの目に触れるだろうし、それにそんな大きな大蛇を隠すところなんてこの村には何処にも無い。それだけこの村で隠し事をするには余りにも狭すぎるのだ。

 そんな事は十分に分かってはいるが、勘太郎は敢えて食い下がる。


「池ノ木さん、こんな精巧な動物たちの模型を作れる貴方だ。もしかしたらこの後貴方は警察に色々と疑われるかも知れないし、場合によっては風評被害だって受けてしまうかも知れない。なのでその気持ちは十分にお察しします。なら、だからこそ尚更我らには協力しなけねばならないのではないでしょうか。あなたの懸念けねんを今ここで晴らし、あらぬ疑いを今後も受けない為にも!」


 勘太郎は言葉巧みに説得し、何とか池ノ木から色々と話を聞こうと言葉を選ぶが、羊野の「まあ、あなたが本当に犯人じゃ無いと言うのならね」と言う挑発的な言葉に池ノ木はまた渋い顔を向ける。

 顔を真っ赤にしながらナワナワと震え出す池ノ木の体は我慢の限界が来たのか怒りに満ち溢れ。その内なる怒りと外の気温が反発し合うかの用に全身からは微かに白い湯気が立ち上る。


「ひ、羊野、お前また余計な事を……す、すいませんね、池ノ木さん。別にあなたを疑っている訳じゃ無いんですよ。これはあくまでも関係者みんなに聞いている事なんで余り気を悪くしないでください」


「俺……あんたらを家にまで入れて事情聴取も受けたよな」


「はい、受けましたね。お話も聞かせて貰いました」


「アリバイだってちゃんとあったよな。だったら一体何が不満なんだよ!ちゃんと知ってる事は全部話したじゃねえか!」


 ついに怒鳴りながら話す切れる二十代・池ノ木当麻に、羊野は冷静な言葉を言い放つ。


「ええ、まだまだ色々と不満だらけですわ。例えば大蛇の等身大は持ち歩けないと言っていましたが、そもそも大蛇の等身大なんて持ち歩く必要など無いのですよ」


「え、なんだって……それは……どういう事だ?」


 絶句する池ノ木に代わり、勘太郎が代わりに聞き返す。


「ああ、お前が蛇神神社で言っていた。大蛇を上半身と下半身の二つに分けたその下半身部分をあの溜池付近に事前に配置し。後は大蛇の動きを演出しながら何かの方法で大蛇を動かし。凍てつく山水が流れる土管の中を通してから、大蛇の下半身部分を上流で回収すると言うあの仮説か。でもあれは必ずその場に来た第一発見者にその大蛇の存在を見せつけるというのが条件だったよな。でなけねば大蛇の犯行には結び付かないからな」


「村の人達から話を聞いて何か面白い事に気がつきませんでしたか」

「面白い事だって……なんだそれは」


「大抵の村人達は皆、村の誰それが大蛇を見たと言っていましたが、実際に大蛇の頭や全体像を見たと言う人は誰一人としていませんでした。一年前もそして今回に至ってもそれは変わりません。これはかなり可笑しな事だとは思いませんか」


 羊野の話を苦々しい顔で聞いていた池ノ木が、逆上しながら大きな声で言い返す。


「お前は馬鹿か!ちゃんと情報収集とかしてるのかよ!村人達の中には全体を見たって人もいただろう。お前らも探偵を名乗るんだったらちゃんと調べてから物を言えよ!」


「だから何処の誰が言っていたのですか?その人が誰か教えてください!」


「だ、だから村人の誰かだよ。大蛇を見た村人なら誰もが必ず噂している事だろうが!」


「だからその村人とは一体何処の誰なのかと聴いているのですよ!」


「だ、誰かって……それは……?」


「貴方にその話を提供した村人の一人も恐らくは誰かから又聞きして来た情報だったのではありませんか。『俺の知り合いのその友人から聞いた話では』とか言う具合にね。でもその情報の中には大蛇の下半身部分を見たと言う本物の証言なんかも当然混じっていたと思われますから、それらの話を上手く利用して大蛇の存在を作り上げて行ったのだと私は考えます。そうこれは人の心理を利用した一種のドミノ型の暗示技法の一つですわ」


「何だよそれ……そんなのはあり得ないだろう」


 そう言いながらも押し黙る池ノ木に、羊野が更にしっかりとした口調で語りかける。


「昨日私達は各家々を回って村人達から話を聞いて来たのですが、誰それが大蛇を見たと言う噂話は聞けても実際に大蛇の全体像を直に見たと言う人は誰もいませんでした。それでも話をしてくれた村人の中には大蛇の体の一部を見たと言う人も何人かはいましたが、大蛇の尾っぽを見たとか……這いずり回る音を聴いたとか……影を見たとか……はたまた胴体を見たとか……と言うふうに皆主張がバラバラだった事を覚えています。ですがその話の全てを統合した結果、私はあることに気付きました。それは大蛇を直に見たと言う人達は皆、大蛇の下半身の一部しか見ていないと言う点です。つまり大蛇の下半身部分を見たと言う人の噂はあれど、誰一人としてまともに大蛇の頭部や全体像を見たと言う人は誰もいないと言うのが私の結論です」


 自信満々に言う羊野の言葉に池ノ木はかなり呑まれていたが、直ぐにまた反論の言葉を返す。


「そ……それが何だと言うんだ。それが大蛇を持ち歩かなくていい理由にはならないだろう。そんなのはただの空論だぜ!」


「いやそうとも言い切れないぜ。もしも羊野の言う用にその大蛇の下半身部分のパーツを人の目に触れさせた後に速やかに回収する計画だったのだとしたら、その回収方法は当然人の手が届かない穴蔵を通る事になる。何よりそうした方が証拠も残らないし、大蛇も速やかに回収できて手っ取り早い。一体どうやって大蛇があの用水路の穴蔵を移動できるのかは知らないが、あの大蛇が逃げ込んだとされる用水路の穴が近くにある事が何よりの証拠だ。まあ、その用水路の穴を巧みに使う事が出来ればの話だが……そうだろう。羊野!」


「まあ、そう言うことですわ。それに下半身部分だけとは言え、あの大きな大蛇の下半身部分を事前に現場まで運んで置かないと犯行当日は流石に人の目からは隠せませんからね。だからこそカラクリ大蛇の回収も兼ねて用水路の用な抜け穴にセットをすると言うのが私の考えです」


 確かに、何かしらの動力で用水路の用な抜け穴を通り抜けられる大蛇をスムーズに引っ張り上げる事が出来れば、この大蛇トリックの半分は略実現可能ほぼじつげんかのうと言う事になる。何でこんな簡単な事に気付けなかったのか?それは大蛇と言ったらやはりその全体像を無意識に想像してしまうからだ。それにあらぬ噂や思い込みも相まって、本当にいるかも知れないという不安や疑心が強く想像してしまう事も原因なのだろう。

 カラクリ大蛇の分割なんて、そんな子供だましのトリック自分だけは絶対に見間違うはずはない。そんな人間の怠慢たいまん慢心まんしんの裏を掻いた高度な心理操作トリックこそがこの大蛇神トリックの半分を占めているのかも知れない。

 だがそのトリックが実際に実行されたと言う証拠を掴んだ訳では無いので、今はまだ想像の段階であると言うのが今の現状だ。そして何より、その大蛇神トリックを操るとされる蛇使いの犯人像が未だに全くもって見えてこない。だがそれでも俺達は諦めない。

 取り合えず今は聞き込みを更に強化し、容疑者の矛盾点を探り当てながら何とか真実を探り当てねばならないと言うのが今の勘太郎の考えだ。


 話は元に戻るが、話を聞く限りでは池ノ木当麻が犯人である可能性は極めて低いと勘太郎は考えている用だが、それでも羊野は池ノ木当麻への疑いを緩めるつもりは無いようだ。

 そこにまだ何か疑わしい物があるのか、或いはただ単にしつこいだけなのかは分からないが。羊野の口から漏れる不適な笑みは傍にいた勘太郎すらも一層不安にさせる程だ。


「最後に一つだけ。結局駐車場には杉一郎さんが乗って来た白のセダンが駐車しているだけで、他には誰もいなかったという事ですね」


「ああ、そう言う事だ」


「そうですか。では池ノ木さん、今日の所はこれで失礼させて頂きますわ。ですが貴方にはまだまだ聞きたいことが幾つかありますから、いずれまたここへ来る事にしますわ。それでよろしいでしょうか?」


「あ、俺の方からもお願いします。また新たな証拠が見つかったらここに来たいと思いますので、その時はまたお願いします!」


 その言い方だと、あんたはまだ容疑者候補から外れてはいないので、また近い内にここに来ますと遠回しに言われている用な物である。

 当然、池ノ木の怒りは炎のごとく燃え上がり、彼の心の導火線は瞬時に焼き切れる。


「お、お前らぁぁ、いい加減に帰れよぉ!でないと名誉毀損めいよきそんで訴えるぞおぉぉーう!」


 激しい怒りに燃え上がる池ノ木の迫力に圧倒されながら、勘太郎と羊野は動物模型に囲まれた工房を後にするのだった。

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