悩みに悩んだ末の結論

私のお母さんが目をキラキラさせながらこの結婚話に賛同しはじめた。


「って!?ちょっと待ってよ!?お母さん!?何で賛同してるのよ!!?」


「なんでもなにも……全てにおいていい話じゃないかい!あんた!あんたは出来ないと思っていた結婚が出来るし!なりたいって言ってなった教師の仕事も続けられる!おまけにそれであんたが犯した過ちもチャラにしてもらえるなら、一石二鳥どころか、一石三鳥じゃないかい!」


お母さんの言葉に、お父さんも黙ってうんうんと頷いて賛同している。いや!?確かにお母さんの言う通りなんだけさぁ!!?


「お母さんは本当にそれでいいの!!?女性同士の結婚なんて、世間様になんて言われるか……」


私がそう言うと、何故かお母さんはフッと穏やかな笑みを浮かべ


「真由美。もっとグローバルになりなさい。今は性同一性障害や、同性同士のカップルとか、そういうのを優しく受け止める自由恋愛の時代なのよ。世間の声なんか気にする必要性ないわ」


とてもこの時代を優しく受け入れてるような事を言ってる母だが、私はそんな母をジト目で睨み


「…………本音は?」


「あの西園寺グループと懇意に出来るなら世間様の声なんてゴミよ!ゴミ!!」


見事なまで汚い本音をぶちまけやがった我が母。父も黙って頷いてるけど……お父さん!そこは絶対肯定したらダメなやつでしょ!?


「ありがとうこざいます!お義母様!」


西園寺さんが嬉しそうに私のお母さんの手を握る。いや!?ちょっ!?まだ結婚が決まった訳じゃ……


「あらヤダ!私も嬉しいわぁ〜!うちもこんな可愛くて美人な娘が欲しかったのよぉ〜!」


いやいやいやいや!?お母さん!私もあなたのか……可愛くも美人でもないけど……あなたの立派な娘なんですけど!!?


「それで、式はいつが良いでしょうか?」


「あぁ、だったら12月25日にしてくださいな!この娘ったら、前日のクリスマスイブの日に山下達◯のクリスマスソング聴きながら酒飲んで自分の誕生日を二日酔いで寝て過ごすとかしてるんで!」


「なるほどなるほど……なら、西園寺グループが全力を持ってお嬢さんの誕生日に素晴らしい式を作り上げてみせましょう!」


「えぇ!よろしくお願いします!」


ちょっとちょっと!!?なんかもう式の日まで決まりかけようとしてるんですけど!!?って言うか何でお母さんは私の誕生日の日の過ごし方を知ってるのよ!!?


「ちょっ!?待って!?まだ私結婚を了承してないんですけど……」


「全く……あんたはこんないい話をもらっておいてまだそんな事を言ってるのかい……」


私のお母さんが呆れたように溜息をつき、そして私の顔をジッと見て


「じゃあ聞くけど…………あんた。この責任をどうやってとるつもりだい?」


「うぐっ!!?そ……それは……」


「言っておくけど、多額の慰謝料を背負う事になった場合、私はあんたと親子の縁を切るからね」


ちょっ!?それが1人の親のセリフなのぉ〜!!?けど、誰だって借金を背負いたくないから当然かもしれないけど……


私の頭でグルグルと思考が駆け巡る……


向こうは結婚すれば私の過ちを許してくれると言う……


ただ、相手が同性というだけで……


教師生活も問題なく続けられるようにバックアップしてくれると言ってくれている……


ただ、相手が自分受け持つクラスの教え子というだけで……


29歳独身の「行き遅れババァ」という不名誉なあだ名も無くなる……


ただ、向こうは「高嶺の花」「学園のマドンナ」と呼ばれる美少女だから、私なんかとは全然釣り合いが取れないだけで……


良い事と悪い事同時に考えても、良い事の方が大きく感じるのは何故だろうか……



悩みに悩んだ末に私が出した結論は…………



「……分かりました。責任を持って西園寺さんと結婚します……」


私のその言葉に、西園寺家の面々と私の両親が万歳三唱をしていた……



こうして、私と西園寺さんは結婚する事になった。翌日、私と西園寺さんの結婚は発表されたが、相手の名前は約束通り公表はしない形がとられた。西園寺さんは芸能関係でも有名だったので、翌日の新聞の一面に結婚の報告が載せられていた。




一方……


「……ふ……ふざけるなぁ〜ーーーーーー!!?認めない!?僕は絶対に認めないぞぉ〜ーーーーーー!!!!?」


1人の美少年が西園寺 遥香結婚の記事をよんで新聞をビリビリに破り捨ててそう叫んだ。

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