第73話 双子の未来

「あーうー」


手を出すとそれを反射的に掴むミント。バジルの方はローリエが抱っこしている。首が座り、寝返りをうてるようになったので抱っこも前より楽にはなったが、日に日に体重が増えているので、まだまだ幼いローリエには若干きつそうだけど、それでもお姉さん風を吹かせたいローリエの様子を微笑ましく見守りながらミントの相手をする。


ちなみに万が一、ローリエがバジルを落としても大丈夫なように部屋にはクッションを多く置いている。まあローリエの背丈の高さから落とすだけでもかなりの衝撃にはなってしまうが、いざとなったらカリスさんの神掛った身体能力でキャッチするので多分大丈夫だろう。


「だうー」

「よしよし、ローリエお姉ちゃんですよー」

「あう♪」


何よりこの可愛い光景を止めることが俺には出来なかった。これはバジルは将来的にシスコンになる可能性高いな。こんな可愛い姉ならそうなるだろう。うん。ミントもきっと美人さんになるだろうことは間違いないし、これはどんな子を嫁に貰うのか楽しみでもある。婿に行く可能性も高いけど……案外バジルが俺の後を継いでくれそうな気がしなくもない。


まあ、強制はしないけど、バジルは母上と父上がかなりお気に入りだったから公爵家を継いでくれそうな予感はする。やりたいことができて、どうしてもそちらがいいというならバジルに無理強いはしないけどね。


「うーあー」

「おっと、よしよし」


こっちに構って、みたいな感じでミントがぐずりそうになるので俺はミントに視線を向ける。


「はいはい、お父様ですよー」

「あうー」


その言葉に反応してミントは俺の指を掴むとご機嫌に笑う。まだまだ子供といってもわりと強い力で指を握るので少しだけ安心してしまう。ローリエの時はろくに構ってあげられなかったが、俺がカリスさんになったからにはある程度過干渉でいくつもり満々ではある。


だってせっかくの可愛い子供を放置するわけないでしょ。まあ、もちろんローリエとサーシャのことも忘れるわけない。むしろ俺としてはもっと皆と時間を取りたいが……仕事はちゃんとしないといけないので仕方ない。子供や嫁にかまけて仕事を蔑ろにするのは論外だし、逆に仕事にかまけて家族を疎かにするのも許されない。


結局はバランスなのだが、まあ、そこはうまく調整するしかないだろう。正直もっと俺に出来ることがあればいいのだが……俺には家族のために収入を得ることと、家族と接してあげること、それにこれから先の未来の選択肢を作ることしかできないので、あとは子供達を時に見守り、時に導くだけだろう。


サーシャは俺が守るからまあ、いいとしても……いずれにしてもこの子達もローリエにも幸せになって欲しいと心から祈るばかりだ。








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