第47話 本題の前の雑談

「そう、ローリエさんお姉さんになるのね」

「はい!」

「なら大きくなったらその子も一緒にお茶をしたいわね」


ローリエとセレナ様が仲良く話している。あまり二人のお茶会には顔を出していなかったのでこうして普通に仲良くしている姿を見ると少しだけ安心する。


「本当に美味しいわね……サーシャは毎日これを食べられるのね。羨ましいわ」

「はい。旦那様のお菓子はとても美味しいですから」

「ふふ、本当に仲良くなったみたいで何よりだわ。やっぱり夜も仲良しなのかしら?」

「ふぇ!?そ、それは……」


一方こちらはサーシャと王妃様の会話。久しぶりに会った友達同士で仲良くしているのはいいが、少しだけ俺の中の独占欲が顔を出しそうになる。サーシャにあんな可愛い表情をさせるのは俺だけなのに!みたいな。というか王妃様、あまり下世話な会話をサーシャにさせないでよ。その手の話に免疫ないサーシャが可愛い顔をするのを俺は他人にみせたくないのよさ。


「しかし……貴公の持ってきたお菓子は美味だな。甘いものを好かない私も美味しく食べられる」

「でしたら良かったです。セリュー様も遠慮せず食べてください」

「は、はい!美味しいです!」


そんで、こちらは残った男組。なんとも華がないが女同士が仲良すぎてるのでこうしてゆっくりお茶をしている。まだ陛下は本題を切り出す様子はないので俺はとりあえず聞いてみたいことを聞くことにした。


「陛下。陛下は子供の将来についてどう考えておられますか?」

「どうとは?」

「教育方針なんて大袈裟なものではないですが、例えば自分の子供が将来的にどのような職につきたいかを明確に示した場合それを受け入れますか?」

「ふむ……難しいところだな。私はもちろんその子の意思を尊重したいが国としてどうしても必要なら強制することもあるかもしれない」

「その結果が悪手でもですか?」

「そうならないようにしたいものだ」


ため息混じりにそう答える陛下。やはり国王ともなると持ってるものの重みも違うのだろう。そう考えると公爵家に転生したのはまだ良かったかもしれない。まあ、国王に転生してても俺は子供と嫁のためならなんでもするだろうけどね。


「それにしても……随分と丸くなったな、フォール公爵」

「そうですか?」

「ああ。前の貴公はもっと剣のように尖っておったからな周囲のものを全て切り裂くような鋭さがな」


やはり前のカリスさんのことを知る人間にはかなり違ってみえるのだろう。


「その剣をしまうための鞘を見つけたからでしょうか」

「貴公の奥方のことか?」

「そうですね……私にとって大切なものは家族です。それがわかったから前のような鋭さが消えたのかもしれません。陛下も何人か娶ってらっしゃるのでお分かりになりますよね?」

「うむ……私の場合は少し仕事に時間を費やしすぎてあまり構ってやれぬがな」


ハーレムというのも存外大変なのだろう。まあ俺はサーシャ一人いれば十分なのでハーレムなんていらないけどね。 むしろサーシャ以外の女性を愛せる自信がないから俺にハーレムは無理だな。うん。



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