文学少女が目覚める時
- ★★★ Excellent!!!
「厭世的なギャルが文学少年の色に染まる」とタグにあるが、本当にそうだろうかと私は思った。
隣の席にいるクールな文学少年が気になる女の子。彼が読んでいる本をつい買ってしまう。関わりを持ちたくて。その切っ掛けが欲しくて。可愛い思考だ。
ただ彼女の思考は軽いギャルって感じではないのだ。まさに文学だ。
──自身の背丈を超える水位の活字の海に溺れそう
──ワイングラスの持ち手のように薄い唇
──250円前後で切り売りされる非現実的な愛の歌
──太陽を拒んだ孤独な漆黒と、その優しい黒に寝そべる星々
──ハルジオンみたいに控えめに笑った
──霜が溶けるほど真っ赤に染まった耳
美しい。どの表現も美しい。
文学少女じゃないか! こんなに美しい表現で日常を言い表す彼女は。
びっしりと活字が埋まった本に、尻込みする彼女。
しかし、彼女の中にはもう、びっしりと文学が息づいている。
二人はもっと近づいていけると感じた。
美しい活字の海を軽やかに泳ぎながら。