バイオスフィア2に対する考察(暫定)
(話の都合により箇条書きに近くなっております。あと、wikipedia先生から改変している箇所が多いので注意)
SFなどで時たま目にする「第二の地球」「テラフォーミング」。しかし、本当に第二の地球は作れるのだろうか?また、閉鎖された狭い宇宙空間で人類は暮らすことが出来るのか?という実験が、1991年にアメリカで行われた。この実験は、当初100年程行われる筈だったのだが、僅か2年での中止を余儀なくされた。砂漠の中に聳え立つガラス張りの空間に、熱帯雨林やサバンナ、海といったエリアが設けられた。
ただ、様々な設備(照明や冷却)は外部からの電源供給に頼っている。実験では、この中で農耕、牧畜を行い、食糧や水分はもちろんのこと、酸素まで自給自足することになる。廃棄物や試薬などにも配慮がなされ、実験は上手く行くのか……と思われた。
8人の科学者たちが死んだ後も、実験は続けられる予定であったが、想定外のアクシデントが起こりまくったせいで、たった2年しか続かなかった。
というのも、
○酸素不足
○二酸化炭素がコンクリートに吸収
○食糧不足
○心理的な問題
にぶち当たったからである。詰めが甘いというか、色々ヤヴァイというか、なんでそんなことしたんだろうという感じである。
○酸素不足
事前の計算では、大気は一定の比率で安定する筈だったが、土中の微生物の働きなどが影響して酸素が不足。また日照の不足もあり、光合成で酸素を生成することが出来ず、慢性な酸素不足は科学者達を大いに苦しめた。よく2年も生きられたな。
○二酸化炭素の問題
二酸化炭素の一部はコンクリートに吸収されていた(コンクリートは二酸化炭素を別の物質に変えてしまう特性がある)。この為、コンクリートに吸収されてしまった二酸化炭素は用いる術がなかった。ちなみに、リアル地球では世界の7割が海に囲まれている都合上、こういったことは起こらない。
○食糧問題
多くの植物は、酸素と日照不足が原因で予想以上に成長しなかった。バナナやサツマイモなどが栽培されてはいたものの、結果的には家畜の多くが死に、バイオスフィア2の食生活は後半に入ると悲惨なものになっていった。ごく稀にコーヒーが収穫できた時には、科学者達が大喜びしたという。
○心理的側面
閉鎖された世界では、大体対立する人間が後を絶たない……。穏やかな心を以てしても無理なんだろうか。
○風力不足
熱帯雨林に生息する木がすぐに枯れた理由として挙げられる。自ら幹を支えることを怠ったから、らしい。実際、風がないと困る場面は多い。
○アサガオの繁茂
アサガオは蔓性植物ということもあり、放っておくと他の植物の生育を邪魔してしまう。恐らくはイタドリ(蔓性植物ではない)や葛でも同じことがいえるのではないだろうか。この二つはヨーロッパに持ち込まれたが、日本以上に雑草感が強く、尚且つ駆除が難しい模様。放っておけばとんでもないことになる上、利用手段も見つからない以上は……。
○ゴキブリ大繁殖
家畜を含めて殆どの動植物が死に絶える中、何故か生き残った。コイツらを気にせず生きられる科学者達は尊敬に値する。
○考察
昨今の外来種問題にも通じるものがあるこの実験。人間が生態系を破壊し続けたら、生物の多様性が失われていくのではないかと心配されている。「調和」と呼ばれるくらい、絶妙なバランスで生態系は保たれているが、「便利だから」という理由でそれを破壊しかねない軽率な人間にも原因はあるだろう。人間が住みよくする為に、或いは娯楽などの為だけに安易に海外の動植物を持ち込むのはやめた方がいいだろう。また、陸上のみとはいえ、コンクリート製の建物が増えた場合にもこのドームと同じことが起きるのではないだろうか。ついでに、人類は地球でしか生きられない可能性が高くなってしまった……。
○終わりに
「無駄だった」と言われている実験ではあるが、この実験自体は今後地球に起こり得ることを予知したものだともいわれている。今からでも対策を講じて実行するのは遅くない筈だ。
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