【136本目】ザ・フライ(1986年・米)
こんな最速で攻略できるヒロイン、ホラー映画でもなかなか見なくない?
【感想】
【仮面ライダー】シリーズや【スパイダーマン】シリーズなど、虫の能力を手に入れた人間の物語は時代を問わず愛されています。
そんな虫の能力のグロテスクな側面をフィーチャーし、虫と一体化した人間のライダーやスパイダーマンとは異なる側面を描いた映画こそ、この【ザ・フライ】と言えるでしょう。
1958年のB級映画【ハエ男の恐怖】が、【スキャナーズ】などで知られるカナダ出身の映画監督デヴィッド・クローネンバーグの手でリメイクされたのが今作【ザ・フライ】となっています。
蝿男のあまりに生理的嫌悪感を煽るメイクが評価され、低予算寄りB級映画よりの内容ながら1986年のアカデミー賞メイクアップ部門を受賞しています。
さてこの映画で物語の軸となるのは、転送装置の実験の際、トラブルでハエと融合してしまった科学者です。
最初は傷のある個所に虫っぽい毛が生える程度ですが、徐々に顔はアバタだらけになる、歯は抜け落ちる、爪ははがれる、と人間の体から段々と離れていく光景がCGなしでありながらあまりにもリアルです。
その姿が最終的にどうなっていくかは……皆さんの目で確かめてみてください。
人によってはトラウマになる光景ですが、【真・仮面ライダー】や【第9地区】が好きな人はある意味で歓喜するラストシーンではないかと思います。
この映画の上映された1980年代は【遊星からの物体X】や【エイリアン】シリーズなんかが人気を博していて、SFホラーの全盛時代でした。SF的な要因で如何にホラーっぽい惨劇を見せるか、というテーマをリドリー・スコットを含む数々の映画人が模索していた時期と言えます。
【ザ・フライ】の一定のリアリティをもって徐々に変貌していく主人公の姿は、ある意味でそのテーマの極致に至っていたと言えるのではないでしょうか。
他、ジェフ・ゴールドブラム演じる主人公(変身前)の俗世間から距離を置いた感じのキャラクターは、【ジュラシックパーク】(第1作)のマルコム博士の源流を見れなくもないです。
【好きなシーン】
主人公が普通のジェフ・ゴールドブラムから徐々にファンタスティック・フォーのザ・シングみたいにグロテスクに変貌していく一連の流れに恐怖する映画なので、好きなシーンと言われるとパッと浮かびづらいですね。
しいて言うなら、皮膚が裏返って血まみれで死にかけている転送後のマントヒヒや、変な味のする転送後のステーキなどは、量子テレポーテーション(だよね?)の持ち得るグロテスクな可能性を示唆していたように見えて興味深かったです。
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