【50本目】ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年・米)【辛口注意、かも】

 50本目記念、ということで自分にとって思い出深い映画で行きます。


【感想】

 この映画に関してはもうね、データとか演出とか考察とかで語れない。少なくともここでは、僕の個人的な思い出だけで語ろうと思います。

 というのは、この映画が自分にとって『初めて劇場でまともに見たハリウッド映画』だからです。

 両親に連れてってもらったんだっけかな?まあとりあえず、それまでドラえもんや仮面ライダーくらいしか映画館で見たことない自分にとっての、初めてのハリウッド映画がこれだったんです(当時前作未見にもかかわらず)

 ちなみに同年同日に【もののけ姫】も公開されておりますが、そっちにハマるのはVHSが発売してからですね。


 いやーもう、めちゃくちゃ楽しんで観ましたね。

 まだ小学生なので細かいストーリーとかは理解できなかったですけど、それでもスリリングなシーン満載で2時間強の間一時も目を離せずスクリーンを見入ってたのを鮮明に覚えています。

 まず前半からして色んな恐竜たちがみられるし、下は崖、上はティラノサウルスという絶体絶命の状況、しかもその途中仲間の一人がティラノに食いちぎられる衝撃映像、テントの中まで入り込んでくるティラノの顎、草村に隠れて瞬時に人々を襲うヴェロキラプトルの恐怖、で全部解決したかと思ったら街中で暴れまわるティラノサウルス、と当時恐竜好きの子供だった自分にはどストライクなハラハラドキドキシーンが満載でした。

 【ロスト・ワールド】という映画単体じゃなくて、ハリウッド映画というジャンルの面白さ、奥深さを、当時小学生だった自分に思い知らせるには十分なパワーを秘めていましたね。

 その後金曜ロードショーとかで地上波放送されたときも、同じようにテレビにかじりついて見てた記憶あります。


 で、年月が過ぎて成長したころにね、どうもあの映画は酷評されてるらしいぞ?っていうのをネットで知ったんです。公開年の最低映画賞ことラジー賞にも、複数の部門でノミネートされてるらしいじゃないですか。信頼できるレビュアーの方が、あの映画に低い点数付けてるのも何回か見ました。

 ただそのころの自分は映画から離れてたので(アニメとかお笑いの方に行ってた)、そのことを知っても「ふーん…」と思う程度でした。


 でここ一年くらいかな。映画というジャンル自体にハマりだした時期。

 ちゃんと見てなかった前作【ジュラシック・パーク】をアマゾンプライムで観て名作と呼ばれるのもわかる面白さだったので、折角だから久々にあの映画も見てみるか!ってことで続けて今作【ロスト・ワールド】を見たんです。

 途中までは普通に見てました。何だったら「おー今回はマルコム博士が主役かー!」とかアガってました。

 で、ストーリーが進むにつれて思ったのが……


 ……ダメだなこの映画www


 マルコム博士は微妙にキャラ違うし(まあここは原作通りらしいけど)、せっかく新登場したコンプソグナトゥスも暴れ方にキレが足りないし(もっとピーターストーメアの体が見えなくなるくらいまとわりつくんかと)、移動途中でスタッフ雑に死に過ぎだし、ヴェロキラプトルのいる草村の突破方法が【全力で走る】だけだし、後半完全に怪獣映画と化すしで……

 【ジュラシック】と【パーク】が終始しっかり両立していた前作に比べて、あまりにも映画としてブレブレな要素が多すぎました。前作のファンがスクリーンでこれを観た時はさぞガッカリしたんだろうな……と、別の感情すら湧いてしまいましたね。

 通信センターでのヴェロキラプトルとの攻防とか、トラウマ引きずってるマルコムを好演するジェフ・ゴールドブラムとか、ピート・ポスルスウェイト演じるスキンヘッドハンターの強キャラ感とか、要所要所で光ってる箇所もありましたけども。


 特にクラクラしたのが、前半のあの崖のシーン。使ってた車が崖の上からぶら下がって、サラたちが落ちそうになってるところ。

 恐竜関係ねぇじゃん!!みたいな。

 前作の子供たちが乗ってる自動車がストップしたところにティラノサウルスが襲い掛かってくるシーンは、逃げ道を確実につぶした後で作品の個性をぶつける、というエンタメのお手本のような名シーンだったと僕思ってるんです。

 それに比べると、仲間がロープを枝に引っ掛けてるシーンをなぜか長々と映した後でやっとこさ恐竜出す今作のあのシーンは、ロープのとここの映画でやる必要ある?という疑問がふと浮かんでしまうところでした。

 仲間をティラノが食いちぎるシーンは流石に今見ても迫力ありましたけど、だからこそ余計に「勿体ないなー」って思いましたね。だったらもっと早くにティラノ出してよ、的な。


 ただそんな映画でもね、観ていて思い出すんですよ。

「俺、子供の頃はこれ白熱しながら見てたんだよな」

って。

 おかしいんですよ、子供の頃と大人になった今でここまで感想が違うっていうのは。


 単に子供の頃の自分が目が肥えてなかっただけ、かもしれない。

 でも子供の頃の目線より、今この目で見てる目線の方が正しいなんて本当に言えるんだろうか?

 って考えたところで、大人になって批評家目線になって、子供の頃のようにスクリーンに映ったままを楽しめなくなった自分に気づきましたよね。


 劇場で観た時の僕は、ストーリーはちゃんと理解できていなかったですけど、崖のシーンも街中で暴れまわるティラノも、「この後どうなるんや!?」「うおぉ!ヤバい!!」ってドキドキしながら見てたはずなんです。

 ストーリーを理解せずに映像だけを追って楽しむという当時の僕の見方は、大人からしたらちゃんと映画を観れていなかったのかもしれない。でも大人でも【シン・ゴジラ】とかに対して【ストーリーよくわかんなかったけど、ゴジラが暴れてて面白かった!】っていう意見が決して少なくないし、ストーリーではなくスクリーンに映ったままを楽しむ、という子供の頃の僕と同じ楽しみ方をしてる人は、大人の映画ファンでも決して珍しくない(何だったらストーリーを重視する人より多い)はずなんですよね。

 それ考えた時、ストーリーや効果的な演出を重視する(ストーリーや演出がダメなら駄作認定する)、という見方だけが正解とは限らないなってことを実感するんです。これって色んな映画ファンがネット上で言っていることなんですけど、僕はそのことをこの映画で【言葉】ではなく【心】で理解するわけですよ。

 映画にハマってから派手なCGとかアクションじゃなくて、純粋にストーリーで感動させられる映画に何本も出会いましたけど、今回この映画を観ていて思ったのは、悪い意味でそれらの映画に影響されてたのかもしれないな、ってことですね。


 かと言って、大人になってからのこの映画を駄作認定した見方が不正解ともいえない。そもそもストーリー・演出・スクリーン上でのインパクト・全部完璧な配分で、子供も大人も楽しめる映画なんかいくらでもある。

 この問題、考え過ぎると一人で何時間も黙考してしまうんですが、少なくとも映画ファンとして見ている分には、【面白さ】の正解は複数の軸を持っておいた方がより楽しい映画ライフを満喫できるかもしれないな、という結論に今は落ち着いています。


 というわけでこの【ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク】、人によっては決して褒められた出来じゃないかもしれません。

 けど、それでも今作は子供だった自分に映画というコンテンツの面白さを伝えてくれた思い出の映画だし、自分にとって【面白さ】って何なんだろう?という問題を時々振り返らせてくれる重要な映画なんです。

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