第50話 行方不明③

 当然俺は断った。

 

 「だよね。佐阿にはもう彼女がいるもんね」


 寂しそうに帰っていく鈴に俺は何と声をかければ良いのか分からなかった。

 

 もし、大智があんな嘘をつかなかったら鈴と付き合い続けていたのであろうと思うが、俺には西川さんがいる。


 声をかけない方が良いのか声をかけた方が良いのかて、おどおどしていると鈴は。


 「彼女にはもうなれなかったけど、友達だからたまに遊びにくるからね」


 鈴はそう言って笑顔を残し、走って帰って行った。


 走らないと泣いている姿を見せてしまうからだ。

 

 

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