第38話 西川さんは…④

 「…佐阿さんはあの人をお姉ちゃんだと思うのですか?」


 まだ、部屋にいた憲が俺に尋ねてきた。


 「だから、言っただろ。例えどんな時でも西川さんは西川さんなんだって」


 その答えを聞き憲は不満な顔をする。


 「僕は今出ているお姉ちゃんの人格をお姉ちゃんとは見れません」


 それだけ言い残し憲はスタスタと帰って行った。


 憲の言い分が分からない訳ではない。けど、今の悪西川さんが悲しめば西川さんも悲しむんじゃないか。そんな気がした。

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