第37話 もう一人②
西川さんは記憶喪失になっていない。
そう思うのだが、今の西川さんは西川さんであって西川さんではない。
「西川さん?本当に記憶がないの?」
直接問いかけるも何も西川さんは答えてくれず、「それよりさ…」と話を変えようとしてきた。明らかに早くこの話題を逸らそうとしている。
そこで俺は憲も家にあげて、話し合いを始める事にした。
「お姉ちゃん。本当は記憶があるの?もし、記憶があるんだったらなんで記憶喪失なんて嘘をついたんだい」
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