第9話 かつての映画ファンへの取材

「友達とさ、エキストラの顔が全員同じじゃね? みたいな話をしてたんだ。

 そっくりっつっても全員親戚なのかなーとか、予算がなくて身内を集めて撮ったのかなーとか、そのレベルだったんだけどさ。


 そしたら次の日、例の火事が起きてさ。

 あの映画、火事のシーンなんてあったっけ? ってなって、確かめに行ったんだよ。別の映画館に。


 火事のシーンなんかなかったよ。

 でもさ、それよりさ、エキストラの顔がさ、変わってたんだよ。

 みんな全然似てねーの。

 しかもさ、なんかチグハグなんだよ。

 顔と体型が合ってないっつーか、顔だけすげ替えたみたいっつーか。


 それだけじゃねーよ。

 例の火事でさ。現実のほうの。映画館の館長が焼け死んだってんで、館長の顔写真が新聞に出てたっしょ? 出てたんだよ。

 エキストラの一人の顔がさ、館長にそっくりなんだよ。

 友達と話したんだ。

 ありゃあ映画の悪魔に取り込まれたんじゃないかって。


 おれは怖くなっちまってアレっきり映画館には行ってないんだけどさ。

 あんた、記者だってんなら調べてくれよ。

 火事で死んだほかのやつらも、映画に出させられてるんじゃねーのか?


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