第15話 口述記録用蓄音機による盗聴レコード 1〜3

 イーグルスホテルの跡地で発見された録音用レコード、その一。

 アデリン・アンダーソンが宿泊していた部屋の音声と思われる。

 言葉の内容から就寝中のいわゆる寝言を盗聴したものとされるが、その割にハッキリしすぎているとの見方もある。

 以下、その音声を確認できる限り文字に起こす。




「……誰?……誰なの?……」



「……アラン?……」



「……違うの?……」



「……待ちなさい!……待って!……」



 録音用蓄音機を誰が仕掛けたのかは不明。





 録音用レコードその二。



(寝息)



「……アラン?……」



「ちがうよ」



「……そう……」



「ごめんね」



(寝息)



 アデリン・アンダーソンの日記等を確認しても、イーグルスホテル滞在中の夜間に寝室に侵入者があったとの記述はナシ。





 録音用レコードその三。



「また来たわね。アンタ、何者なの?」



「ぼく……モスマン……」



蛾人間モスマンですって!? 冗談はやめて!! そんなくだらないことを言うなんて……やっぱりアランなのね!?」



「……アランじゃない……ぼくはモスマン……ぼくのなまえ、これしか、ない……」

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