第6話 アトリエでの大量殺人

ロンドンタイムズの記事



『真昼の惨劇!! 青年を大量殺人に駆り立てたものとは!?』


 本日昼過ぎ、悲鳴が聞こえたとの近隣住人からの通報を受けて駆けつけた警察官が、女性六名の遺体を発見。

 遺体の輪の中にたたずんでいた男を殺人の容疑で逮捕した。

 被害者は全員、注射器で生きたまま大量の血を抜かれたことによって失血死しており、現場からは血のにおいはほとんどせず、代わりに妙な魚臭さがただよっていたという。


 死亡したのはいずれも美術集団シャーマーメイズに所属する画家。

 現場となったのは同団体のアトリエである。


 同団体による作品は「火事を招く呪われた絵画」と噂され、信じがたい話ではあるがその絵画を購入した家庭では実際に不審火が相次いでいる。

 被疑者の知人は、今回の大量殺人事件の動機を、呪いによる十二件目の火災によって婚約者を殺されたことへの復讐ではないかと語った。


 逮捕された男は容疑を否認。

 自分がアトリエを訪れた時には画家達はすでに死亡していたと供述している。


 シャーマーメイズには総勢十二名の画家が所属していたが、惨劇を免れたはずの残り六名の行方は不明である。

 犠牲者から抜き取られたはずの血液も発見されていない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る