第6話 火災報知器の誤作動
私は、佐々木さんの証言を振り返る。たしか火災報知器は、パーティーが始まる三十分前に、鳴り響いたはず。さて、どの部屋の火災報知器が鳴り響いたのだろう。
どの部屋の火災報知器が鳴ったのか。これは確かめなければならない。そしてもしこの誤作動が、誰かの気を逸らすための罠だとしたら。火災報知器が鳴った時に、誰が来客用スペースに残っていたのかを確認する必要がある。こればかりは、全員に、その時間のアリバイを聞くしかない。おそらく、来客用スペースに残っていた人物が、犯人に近い人物だ。
私は、全員のアリバイをまとめてみた。
佐々木拓郎
来客用スペースにて、パーティーの準備を行っていた。
小石川良
車で隣町から北海宅へ移動中。
荒井誠
ゲーム用スペースで煙草を吸っていた。北海正人と一緒。
鈴城卓馬
来客用スペースにて、パーティーの準備を行っていた。
五十嵐明美
夏鈴ちゃんとともに、三階の遊び部屋で遊んでいた。
北海正人
ゲーム用スペースで煙草を吸っていた。荒井誠と一緒。
北海紀子
キッチンで、パーティー用の料理を作っていた。
夏生陽介
探偵事務所にいる。
そして火災報知器は、さすが北海宅、すべての部屋に取り付けられていた。
ここで整理する。
佐々木さんは、来客用スペースにてパーティーの準備を行っていた。証言によると、どうやら別の部屋で火災報知器が鳴ったらしい。
さすがにゲーム用スペースで吸っていた煙草が原因で、火災報知器が鳴るようなことが起こるとは思えない。主人も同席していることだし。おそらくは、キッチンではないか。そう思い紀子に確認したところ、
「はい、火災報知器が鳴ったのは、キッチンでした」と話してくれた。しかし、やはり誤作動のようで、何故鳴ってしまったのかはわからないそうだ。
鈴城は火災報知器が鳴った際にかなり驚いたようで、咄嗟に部屋の外へと飛び出したところ、同じく飛び出した荒井と鉢合わせをしたらしい。少しバツが悪いが、緊急事態ということもあり、そのままキッチンへと向かったそうだ。
と、ここで、ある人物の発言が気になってきた。
……来客用スペースには、二人しかいないではないか。
では、ここから犯人を導き出すこととしよう。犯人を推理する上での材料はすべて揃っている。犯人の目星はすぐにつけられるであろう。しかし動機までは、読者にはわかるまい。何故夏鈴ちゃんは、殺される必要があったのか。彼女はあまりにも、悲しい人生を歩んでいたのだ。
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