第9話

あはははは

うふふふふ

わはははは

笑い声が四方八方から聞こえる

進めども戻れども聞こえてくる

惑わされているのだろうか

先達が記した中途半端なこの旅路には

終わりがくるのだろうか


ルアルの森の奥へ

すべてのうれいを払うために

すべての哀しみをはらうために

足が重くとも進む

目が時折かすむとも進む

向かってはならないのだろうか

先達が一人たりとも戻って来なかったから

それともこの進みが最善なのだろうか

この思考は本当に自分のものだろうか

それとも笑い声に惑わされた思考か

いづれにせよただただ進むしかない

森の奥へ 奥へ

限界を超えた状態が続いた

ついに笑い声が途絶えて思考が止まる

そして



やがて射した光の中で見えたものは


しろ

シロ


風の音も羽の音も水の音もあって

息づかいもある

雪ではなく光が強く差すわけではない

なのにただただ白い

そのなかにモノの姿が生まれ

すぐに朽ちていきまた生まれる


ここが最奥

ルアルの森の残った“聖地”


色を端で添えていたのは

日記や絵に描かれていた

先達の服を着たミイラだった

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