『パパイヤ~ン』


凛「ちょいとそこのお兄さん」


王「なんだいそこのお嬢さん」


凛「突然ですが、パパってどんな人?」


王「とても優しい人だよ」


凛「それは前にも聞きました。っていうか、聞かなくてもわかります」


王「え? どうして?」


凛「だって、あのママの尻に敷かれてる人なんですよ。めっちゃヤワそうじゃないですか」


王「そんなことはないと思うけどなぁ……」


凛「妻に逃げられ、息子に泣いてすがりつく……。そんなみっともないパパ像が私の中にはあります」


王「それは大きな誤解だよ。もっとこう……〝父さん〟って感じの人だから」


凛「あん? 父親とはどんなものかを知らない私に対する嫌味ですか?」


王「あ、いや、そういうわけじゃ……;」


隼「──お前らは相変わらず仲睦まじいな」


凛「あなたは相変わらずKYですね」


隼「お前の父親がどんな人間か代わりに説明してやろうと思ってきたのに、酷ぇな」


凛「ああ、そうでしたか。では早く申しなさいこのミジンコカス!」


隼「最近イヤに偉そうだな」


王「きっと照れ隠しなんだよ」


凛「やん、指摘しちゃダ~メ♪」


隼「というより、ヘンテコな俺が移ってる」


凛「いいからさっさと言え」


王「女の子がそんな言葉遣いしちゃダメだよ。僕は嫌いじゃないけどね、ふふ」


凛「…………。隼人さん、早く!」


隼「ん、ああ……」


王「ツッコんでくれないんだ……」


隼「お前の父親はなぁ……なんつーか……不気味だ」


凛「は?」


王「なんて失礼なことを……!」


隼「いつも穏やかそうな笑みを浮かべていて……それが不気味で怖い。何考えてんのかわからん」


凛「えー……お兄さんそっくりじゃないですか」


王「嬉しいような悲しいような」


隼「まあ、一応一企業のトップだしな。それなりにデキる人間なんじゃねぇの」


凛「そう言われてみればそうですね。スポーツもデキるみたいですし……。なんか気持ち悪いです」


王「父さんが聞いたら悲しむよ」


凛「もしかして亭主関白?」


王「それはないよ」


凛「んもう、わかんない! ママが尻に敷いてるわけじゃないってことは、ママがパパにゾッコンってわけ!? そんなママ怖い!」


ママ「あら、言ってくれるじゃない♪」


凛「Σハッ!!」


ママ「凛ちゃん、今からママとお散歩しましょうか。可愛い首輪があるの♪」


凛「イヤァーー!!!!!!」


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