核心、現る―(14/19)


※~[カリオス今田]視点~※



「待ってよ今田くん!!」


「うるせぇ!! ついてくんじゃねぇよ!!」


「君が泣きそうな顔をしているから心配してるんじゃないか!!」


「!」


俺が……泣きそうな顔を……してる……?


「少し落ち着いてよ……君らしくもない」


「俺はいつだって冷静だ!!」


「そうやって怒鳴るところが冷静じゃないよ!」


「テメェだって怒鳴ってるだろうが!!」


「君が怒鳴るからだろう!!」


ああ言えばこう言う……こいつのこういうところが嫌いだ!


「これが冷静でいられるってのかよっ……やっぱりお前は何もわかってねぇっ……!!」


「そうだよわからないよ! でも君が苦しんでることはわかる!」


「俺のことはどうだっていいんだよ!! 苦しんでるのはアイツだろうが!!」


「!」


そうだ、俺はどうでもいいんだ……どうなったっていいんだ……!!


「アイツが傷ついたのも、男性恐怖症になったのも俺のせいだ!! 全部俺が悪いんだ!! 俺はアイツの人生を壊したんだっ!!」


「それは──」


「なんの根拠もねぇくせに否定するなっ!! 俺はその偽善者ヅラが一番嫌いなんだよ!!」


「ち、違うよ!! 僕はただ、君に自分を追い込むようなことはしてほしくないだけで!!」


「俺が悪いのに逃げてなんかいられるかよ!!」


「逃げろなんて言ってない!! でも、自分一人で全部を抱え込まなくてもいいじゃないか!!」


「これは俺の問題だ!! お前には関係ねぇ!!」


自分一人で抱え込むな?

だからって関係ねぇやつ巻き込んでどうするんだよっ!!

そんなことするほうが俺はつらいんだよっ!!


「で、でも……」


「お前はもう口を出すな!! 邪魔をするなっ!! 何もするなっ!!」


「っ……」


……わかってる……。

こいつが本当に、良心で俺を心配してくれてるってことくらい……。

でも俺は……もう誰も巻き込みたくないんだ……!!


「──俺は、アイツにちゃんと謝った後、ここを出る」


「!」


「許してもらおうとは思ってない。けど、俺はもうアイツの近くにはいないほうがいい」


そうだ。

俺はアイツの目の届かないところに消えたほうがいい。

そのほうがいいんだ……。


「…………。それが、君のけじめなんだね……」


「そうだ……。謝るくらい、させろよな」


俺はそれだけを言い残し、その場をあとにした。

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