狂愛人間、現る―(17/21)


※~[カリオス今田]視点~※



トロが窓から飛び降りると、正生徒会の副会長とかいうやつも出ていった。


あいつらスゲーなぁ、女とは思えねー。


「……ようやく二人きりになれたね」


「キモいこと言うな!」


ちっ。

マッケンもいねぇから、一番面倒なやつと二人きりになっちまったじゃねぇか。

笑顔が腹立つ。


「どうして僕の時だけそんなに冷たいんだい? もう少しノってくれてもいいじゃないか」


「うぜぇ、うぜぇんだよ。お前はとにかくうぜぇ。ストーカーすんのがそんなに楽しいかよ」


「僕は君が心配なだけだよ」


「お前に心配されても嬉しくねぇ!!」


おいコラこっちに来んな! 近づくな!


「逃げるなんて酷いじゃないか」


「あのなぁ! 情報回してくれたことには感謝しねぇこともねぇけど、俺はお前までここに来ることなんざ聞いてもねぇし望んでもなかったんだよ!」


「知ってるよ。君を驚かせようと思ったんだ」


「そんなサプライズいらねぇ!!」


この粘着質野郎が。


「ごめんごめん。──それで、調子はどうなの?」


「…………」


やっぱりそれが目的かよ。

お前には関係ねぇだろうが……。


「その様子じゃ、あまりうまくいってないみたいだね」


「お前の情報が間違ってたんじゃねぇのか」


「そんなはずはないと思うんだけどなぁ……」


まあ確かに、信用はできる情報源だろうけどよ。


「どいつもこいつも変なやつばっかだし」


「失礼なこと言っちゃダメだよ。君も十分変わってると思うし」


お前も失礼だよ。


「怪しいやつはだいたい調べたんだけどなー……全員外れだ」


「君のクラスの子も?」


「あぁ? 俺のクラスにそれっぽいのは一人しかいなかったし。どのみち違ったし」


「?」


玉野郎は険しい顔で怪訝そうに首を傾げた。


「なんだよ」


「いや、僕の予想も外れたのかなって」


「お前の予想?」


「ん……外れたのなら、別にいいんだ」


なんだよ意味不明なやつ……。


「お前、これからも俺にはあんま関わんなよ」


「嫌だって言ったら?」


「張り倒す」


「…………」


「…………」


「……ふふ、そっか。まあ、状況的にもそのほうがいいかな、〝今田くん〟」


「ああ。気安く話しかけんなよ、〝会長さん〟」


ったく、余計なことしたらブッ飛ばすからな……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る