第1節【入学初日】

ヘンテコ人間、現る―(1/9)


──ヘンテコ人間。


それは、脳に異常があるわけではないが、様々な意味で精神的に度が過ぎている人のこと。


異常に明るい人。

異常に暗い人。

異常にカッコつける人。

異常に可愛い子ぶる人。


頭の中ではわかっていても、自由を求めて周りの歩調を無視している人。


そういった、将来的に社会で浮いてしまうであろう人を、子供のうちに更生させようという考えから生まれたのが、H☆H高校。


……なんて言ってるけど、名前の時点でアウトじゃない?

ハイ☆ハイテンションって、なぁに。

その手の人は高校名聞いただけで狂乱しちゃいますよ。


「ハァァァァイッッッ!!!! ハイテンショォォォン!!!! ぅうぃぃあはぁぁぁん!!!!」


チッ、うるせぇな。


「オイてめぇうるせぇよ!! レイたんに燃やされて消えろ!!」


ん、なんだいチミは。


「アイマイミーマイン!! 俺達、今日からクラスメイトォォォ!!!! 嬉しいぜ、だぶ男!!!!」


「誰がだぶ男だ!!」


いや、そんなだぶだぶズボン履いてたら……ねぇ?


「──ちょっと、うるさいのマジ迷惑~! 富士子の鼓膜破れるぅ~!」


いや、破れそうなのは富士子さんの制服だって!

超ムチムチしてやがる!


「フジコ!? お前がフジコ!? まさか不二子ちゃんじゃねぇよなぁ!? なぁ!? 不~二子ちゅあぁぁぁん!!!!!!」


まさかルパン!?

お前のもみあげ、ルパン!?


「富士子は不二子で富士子よ!! 富士子は不二子で不二子は富士子で富士子は不二子のそれ以上!!」


フジコフジコうるせぇ!


「あぁぁぁあぁぁっ!?!? 豚のロースがふざけんじゃねぇ!! はらみじゃねぇ!!」


どっちでもええわ!


「ぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶたぁぁぁぁぁん!?!?」


ブータン?


「あ、イノシシ? カピパラ? マツコデラックス? え、ちっちゃいことは気にすんな? それワカチコワカチコ~♪」


あ、懐かしい。


「貴様ぁぁぁぁぁっ!!!! ヒーップドロォォォップ!!!!」


「グフォッ!!!!」


うわ痛そう。

床に顔面強打だ。


「鼻がぁぁ!!!! 我が輩の鼻がぁぁぁぁ!!!! 折れてもげて花となって散ったぁぁぁぁ!!!! だーかーらーあの日見た花の名前を僕達はまだ知らなぁぁぁぁいっ!!!!!!」


何言ってんだあのモミアゲ。


「ふんすっ!!」


とりあえず、内臓破裂はするかな。

そういえば、だぶ男はどこ行った?


「◎*∀☆□○◆ω△!!」


一緒に潰されとる!


「富士子の制裁は不二子の制裁よ!! 思い知ったかモミアゲ!!」


そこはルパンでいいと思います。


「お、俺は……不二子なんかにゃ負けねぇ!! 喰らいやがれ!! ファイヤースティィィック!!!!」


ファイヤースティック? あぁ、マッチのことか。

──って、燃えてる!?!?


「きゃあぁぁぁぁっ!!!! 富士子の服がぁぁぁ!!!! 富士子の制服がぁぁぁぁ!!!!」


豚が飛び跳ねた!!

肉がぽよんぽよんいってる!

ってか、だぶ男のだぶだぶズボンも燃えてるよ!!


これはやりすぎじゃん!?


「わぁぁぁっ!!!! 火事だぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!」


自分で放火しといて騒ぐな!!


「ファイアァァァッッ!!!!!! 俺と君とファイアァソウル!!!!」


お前燃えてねぇし!!


しばらく教室が火の海と化したのち、ようやく天井のスプリンクラーが稼動しました。


遅いよ!! この鈍感!! 無神経!! しかも水の量ハンパねぇ!!


「おぉぉおぉあぁあぁ!!!! 命の水ぅぅぅ!!!! ちょー気持ちィィィ!!!!」


だからお前燃えてねぇだろ!!

飲んでんじゃねぇよ!!


「いやぁぁぁぁ!!!!!! 富士子のカラダが淫らな状態にぃぃぃぃ!!!!」


確かにちょっと危ない。

制服燃えすぎちゃったね。


「おい女ぁ!! 女はどこだぁ!!」


それって、富士子さんを何とかしろってことですよね?

今のあなたは変質者に見えます。


「アノ、ワタシ女デース」


しょうがないから申し出てやりましょう。


「おぉロボ!! この豚の丸焼きを教室から連れ出せ!!!! 醜い豚はいらねぇ!!!!」


この人ホントに失礼ですね。

っていうか私、ロボじゃないし。


自分を帰国子女だと思い込んでるって設定だし。


「ワカリマ~シタ」


とりあえず廊下に持っていきましょう。

ずるずるずる。

こう見えても力だけはあるのよ。


って、あれ?

富士子さんちょっと痩せた?

ってか、だいぶ痩せた?

熱くて汗かきすぎたのかね。

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