第17話
「そりゃみかこはいいわよね、放っておいたってバラ色の人生が待ってるんだもの!」
「そうだよ! 人生だけじゃなくって男の子だって好き放題に選びたい放題でしょ⁉ しかも最初からきれいなんてずるい!」
持つ者へと持たざる者たちが不満の声を上げる。
「あら、そんなことありませんわ。まりのさんだって京子さんだって素敵なレディですわ」
『思ってない!』
グルグルグル……と、獣の叫び声を秘めながら目を吊り上げた。しかしみかこは平気で言い続けた。
「思ってますわよ。それにまりのさんのほうがわたくしなんかよりよっぽど立派ですわ。だって自ら進んで自分の魅力を増そうと努力しているんですもの。そうした心がけこそが人を磨くんですわ」
「え?」
急に内面までホメられたような気がしてまりのの矛先がゆるむ。
「馬鹿言ってんじゃないわよ。まりのは単に自分の欲望のためにかわいくなろうとしてるのよ!」
「なによ!」
ミもフタもない言いように牙をむく。しかし京子も気にせず話をつづけた。
「あたりまえでしょ。それじゃかわいくなってどうするのよ、男の子にちやほやされたいからでしょ⁉ そして自分のかわりにいい生活させてくれそうな相手つかまえるためでしょ⁉」
「うぐ……」
まったくの図星で言い返すことが出来ない。しかしそのまま黙ってしまうのはくやしくて、なんとかして言葉を絞り出した。
「そ、それなら京子ちゃんだって一緒でしょ! 勉強したっていい生活するためじゃない。そのうえで自分より馬鹿だけど都合のいい相手を使って、ちはほやされるためじゃないの!」
「ぐ……」
これまた図星で言い返すことが出来なかった。お互いがお互いに欲まみれな動機で努力をしていることを暴露しあっているので世話はない。似た者同士だから仲がいいのかな、とぼんやりとはなは思いもした。
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