決意の反対

「私は反対する」

俺は今、彼女と話して驚いている。絶望的な感情を抱いている。

時間を遡ると20分前・・・

俺は翔祐と話をした後、彼女のところに行った。病室に入ったら彼女は本を読んでいた。

「話がある。これからの事について」

俺は椅子に腰を掛けた。彼女は本を閉じて机に置いた。

「俺は世界を回る。優菜には悪いと思っている。でも俺は世界の人々を救いたい。だから・・・

「私は反対する」・・・・・・・


と、今に至っている。なぜ彼女が反対をするのか。俺は焦っていた。

「あ、弟たちの事は大丈夫。さっき翔祐に話したら、良いって言ってくれたから。だから・・・行かせてくれないか。いや、この際、翔祐と約束を守るために優菜が何を言おうが俺は行く」

俺ははっきりさせた。もう、彼女に何を言われても俺は絶対に行く。翔祐のために。世界を回る。でも、彼女に反対されて世界を回るのは・・・と思うと心にもやがかかって、気分が下がる。

彼女はため息をした。

「もう、何言っても、・・・行くのね」

と彼女は言った。彼女の言ったことから俺は世界を回っていいという事が彼女は良いと言っていることが出来る。ってことは

「でも、気を付けてね。ほかの国は此処みたいに平和じゃない。戦争だってしている。だから、死んだら、本気で怒るから」

と彼女は俺に忠告をした。これも真面目に。

「俺が死んだら、怒ることが出来ないよ」

俺は彼女にツッコミをいれた。でも、俺は死んだら彼女に怒られる事が出来ない。

「真一君が死んだら、私も死んで怒りに行きます」

「来なくていいです。ていうか、死にませんから」

俺はさっき言ったことを訂正するように言った。彼女はクスクスと笑っている。でも、これから彼女のこの笑顔を見ることが出来なくなるのは、少し寂しい。だから、俺が帰ってきたら、最高の笑顔で迎えてもらおう。

そして、俺が退院と旅立ちの日が来た。みんなが俺を送り出そうとしてくれている。「兄ちゃん、行かないで」

と弱音を吐くように言う、亜美。本当に寂しそうだった。でも、いきなりこの国を出るわけではない。だから、2ヶ月の間は2,3日は家に帰ることが出来る。まずは北の方から病気を治す。

「大丈夫だよ、亜美。兄ちゃんは元気で帰ってくる。だから、帰って来た時は亜美が多きなった姿を見せてな」

俺は亜美の頭を撫でて言った。亜美は涙目になって、「うん」と頷いた。

次に目が合ったのが慶介だった。慶介は強がって、泣くのを我慢していた。まだ、我慢の仕方が下手だった。

「しょう兄ちゃんを助けてやるんだぞ。兄ちゃん慶介を信じてるからな」

と亜美と同じように撫でたら

「に゛・・・い゛・・ぢゃん・・・がん・・ばって・・・」

と泣くのを我慢していた慶介だが、涙をボロボロとこぼしていた。多分亜美につられたのだろう。俺は二人をもう一度、頭を撫でてやった。

そして、俺は顔を少し上げて、二人の後ろに立っていた翔祐を見た。翔祐は頼もしいそうに立っていた。大人だなと思った。

「二人を頼んだよ。俺は翔祐を一番信じている。だから・・・

「一番は僕じゃなくて、優菜さんでしょ」

と途中で遮ってきた。そして、俺はその言葉に反応して彼女を見た。彼女は微笑んでいた。

「そうだな!」

と言いながら翔祐に最後に頭を激しく撫でた。翔祐は

「やめろよ。やめろって」

と言いながら嬉しそうに笑っていた。また我慢している。

俺は彼女のところに行って

「じゃあ、行くな。あと、頼みごとがあるんだけど・・・その・・

「翔祐君の事なら大丈夫。翔祐君は自分の手で前に進むよ」

と確信しているような彼女の目を見た。でも、彼女が言うなら大丈夫だろう。

「そして、これ。これが有れば大丈夫だと思うよ」

と暗記カードの束を二つ俺の首から下げれるように紐が通っていた。俺は受け取って首から掛けた。

「じゃあ、俺の最初の仕事をするよ」

俺は彼女を見て言った。彼女はコクリと頷いた。俺は彼女の手を取って、繋いだ。

俺は一旦両目を閉じて、深呼吸をした。そして、両目を開けて、彼女の病気を消滅させるイメージをした。そして、彼女の体が光、その光が粉みたいになって俺の右目に吸い込まれていった。それは5分度ほどで終わった。

彼女は車椅子から立ち上がった。前まで、病気で立ち上がることが出来なかった彼女だが、今はゆっくり立ち上がる事が出来ていた。

俺の最初の仕事は終わった。これで彼女は死なずに済む。あとはあれが世界中の人々救って生きて帰る事。

「そろそろ行くな」

と言ってみんなの顔を何回も見直した。忘れないように。大事な家族を大事な恋人を・・・

「じゃあ、行ってきます!」

俺は元気に言った。弟たちに元気に送り出してもらいながら、俺は前に進んだ。

「真一君!」

俺は彼女に呼ばれて振り返った。彼女は俺のところまで元気に走ってきた。その勢いのまま俺の顔を引き寄せた。

そして、俺の唇は彼女の唇と触れ合ていた。重なっていた。

「行ってらしゃい。待ってるからね」

と微笑んで俺を見た。そして彼女は目を閉じて、俺に求めてきた。

俺は彼女を引き寄せて彼女との距離を0cmにした。そして、唇を重ねた。

彼女は腕を俺の首の後ろに回して、なかなか離れようとしなかった。でも、嫌じゃなかった。嬉しかった。

・・・そして・・・俺は・・・俺の・・・世界を救う・・・物語が始まる・・・

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