第16話 座談会

 休みも明けて月曜日。

 今週はテスト週間で午前放課になる。この日は弁当を持ってきて一緒に勉強しようとこの前チャットのグループチャットで決まった。とは言っても結局は座談会で終わってしまうのが恒例だ。

「紗綾ー。あんた土日なんかあったでしょ?」

 関口が聞いてきた。

「え、何で?」

「なーんか顔がいつもと違う」

「何が違うのよ。いつもとおんなじ顔よ」

 ヤバい。バレたか。そう思うも冷静を装った。

「なんか……こう雰囲気が変わったというか……明るくなった気がする」

「そう?」

「うん。さては須川君と何かいい事あったんだ?」

「いい事って?」

「そりゃあ、もうあれよ。あれ」

「あれって何よ」

 分からず関口に聞いた。

 関口はなんで分からないのよ、と言わんばかりの顔をしている。

「ホントに分かんないの!? SEXよ! SEXよ!」

「ちょっと沙希! 声がでかいよ!」

 私と関口のやり取りを聞いてた他の二人が関口を鎮めた。

「もう恥ずかしいんだから言わせないでよ!」

 なんで私が怒られなくちゃいけないんだ。内心ムッとするも堪えた。

「す、するわけないじゃない!」

 私が聡君と……ゴクリ。いや、違う違う! そんな破廉恥じゃないわよ! そういうのは……もっと……ね、大人になってから。私は一人心の中で格闘をしていた。

「えぇ、そうなの? 早い人とかはもう済ませてるよね。須川君とか性欲凄そうだし」

 関口が言った。彼の性欲に関しては全くもって知らないが、もしそんなことなかったらとんだ風評被害だ。

「ていうか聡君の家に泊まったことないし」

「そうなの? てっきりもう泊まってるのかと思った」

「ないない。まだ泊まるのは早いよ」

「そんなことないでしょ。男子なんて皆性欲凄いでしょ」

 須川も口に出さないとはいえ、やっぱりそうなのだろうか。もしそうだとしたら……。

「やっぱりそうなのかな?」

「そうだよ。男子の話聞いてみな。下ネタばっかりだよ。気持ち悪いったらありゃしない」

 関口が呆れ顔で言った。

「け、けど聡君そんな事一言言わなかったし……」

「そりゃそうでしょ。女子にそんな事言える訳ないよ。ましてや好きな人にさ」

「まぁ、それもそうか」

「ああいう人に限って凄そうだよね。色々と」

関口にそう言われて、納得してしまう自分がいる。今まで想像が付かなかった彼の一面をたくさん見てきた。そっちの方ももしかしたら凄いと言われても否定はできない。

「けど、そこは追々ね」

「そうだね。けどあんまり遅すぎるのも良くないと思うよ。飽きて他の人に行っちゃうかも」

「ちょっと! そんなこと言わないでよ」

「冗談よ。てか聡君だなんて、やっぱりこの土日でなんかあったんだ」

 関口が不敵な笑みを浮かべて言った。

「別にそんな大したことはないよ。お互い下の名前で呼び合おうってなっただけ」

「ふーん。じゃあ手とかは繋いだの?」

 松田が聞いてきた。

「手は……その……繋ぎました……」

 何でそんな事言わなくちゃ行けないのよ……。私は恥ずかしさで一杯になった。

「ヒューヒュー! やるねえ!」

「ま、付き合ってるならそれくらいは普通よね」

 彼女達は私のことを茶化してくる。

「もうやめてよ! それより皆いい男子とかいないの?」

 この流れはまずい。何とか話を逸らさなくては。

「あ、紗綾話逸らしたな」

 小林が言う。

「私ばっかりじゃ不公平よ! 皆にも言う義務があるわ」

「分かったって。そう怒らないでって。」

 小林が宥めた。

「と言っても。私全然いないんだけど」

 小林が言った。

「私も彩夏と同じ」

「私もー」

 他の二人も同じみたいだ。

「なあんだ。つまんなーい」

 私は嫌味ったらしく言った。

「だって、いないのはしょうがないじゃない」

 松田が言った。

「まあその分、紗綾と須川君の惚気話は聞くからそれで満足」

 関口が言った。

 すると小林の携帯が鳴った。

「あ、ごめん。ちょっと出るね」

 小林教室から出た。丁度そのタイミングで須川から連絡が来た。

『今日良かったら俺ん家で勉強しないか?』

 返信しようとしたら続けてメッセージが来た。

『もしかして松田達と勉強会してたか? やっぱ大丈夫だ』

 これはいけないと思い急いで返信した。

『いや! 大丈夫だよ! 今からそっちに行くよ!』

『本当か? じゃ待ってるな』

 チャットも一旦終了し、松田達に言う事に。

「あ、あのー……」

 坂本は二人に恐る恐る言った。

「うん? 何?」

 二人は反応する。

「えっとですね……ちょっと用事思い出しから帰らなくちゃ行けなくなりました」

「え? 始まったばっかりだよ?」

 関口が言った。

「沙希は分かってないなー。紗綾は須川君のところに行くんだよ」

 松田が自信たっぷりに言った。

 まるで私は何でも知ってるのよ――と言わんばかりに。

「ち、違うよ!」

「図星だなー」

 松田が不敵な笑みを浮かべた。

「いいよ行って来なよ。私ら三人でやってるから」

 関口が言った。

「うぅ……。ごめんね」

「いいって。彩夏にも言っとくから。後で惚気話聞かせてもらうし」

「はいはい。じゃあ、またね!」

 そう言い残し、私は須川の家に向かった。

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