第6話 合同練習

 ここ数日、気温も少しずつ下がり秋らしくなってきた。そんな中、今日私は地元の中学生と合同練習をするために中学校に来ている。引退している中学三年生も高校生と一緒に練習できるのを聞いたのか、何人かその中に混ざっていた。

 中学生相手でも私達の監督はいつも通り厳しく、彼女達は悲鳴を上げながら練習に励んでいた。そう言っている私もこれ以上他の人を見る余裕がないのでせっせと練習に励んだ。



「では、お疲れさん」

 気付けば時間になっていて軽いミーティングを終え解散となった。

 ありがとうございました――と少女達の声が体育館に響き渡る。

 とりあえず須川に返信しないと。

『部活終わったよ!』

 いつの間にかこの流れもルーティンと化していた。

 ふと高岸が私の視界に入る。中学生達と親しそうに話していた。高岸の母校ということもあるのだろう。そんな彼女をボーッと見ていると。

「あ、先輩お疲れ様です!」

 私の視線に気付いた彼女はこちらに走ってきた。

「うん。お疲れ様」

「もう。監督ったら中学生相手にも容赦ないですよね! あんなんじゃ女の子にモテないですよ」

 高岸はムッとした表情で言った。

「あ、先輩。今、彼氏さんに返信してました?」

「う、ううん! してないよ! てかその前にいないっての」

 まったく。と携帯をがさつにポケットにしまった。

「また隠すんですか? そんな隠さなくても良いのに。あ、紹介しますね! この子は後輩の香織かおりちゃんです!」

 高岸は隣にいた女の子を紹介する。

 ショートヘアで目がパッチリと大きく可愛らしい子だ。

「は、はい! よろしくお願いします」

 香織はそう言って一礼した。緊張しているのが伝わってくる。

「私は坂本紗綾。よろしくね」

「は、はい。高岸先輩から色々と話は聞いてます」

「話?」

「はい! 一番仲の良い先輩とか、話しやすいとか……後はいつになったら彼氏がいるって言ってくれるんだと――」

「ちょっと香織。それ以上は言わなくて良いからね」

 あははは。と高岸は香織の口を押さえつけながら言った。

「先輩。気にしなくて良いですからね!」

「はいはい……。あんまり変なこと話さないでよね」

 彼女ははーいと生返事をした。言ったところでっていうのはあるが、一応釘は刺しておく。

「じゃあ、そろそろ失礼しますね。香織、行こう」

 お疲れ様でした! とキビキビと去って行った。

「まぁ、あんな子だけど仲良くしてね」

「はい」

 ふふふ。と香織は笑った。

「では私も失礼しますね」

「うん。お疲れ様」

 一礼して彼女も去って言った。

 嵐も過ぎ去った事だし私も帰りますか。荷物をまとめて学校を後にした。


 


 帰宅してしばらくした頃、須川から返信が来た。

『お疲れ』

『ありがとう! 今日は中学生と一緒に練習したんだ!』

『へぇ、たまには年下の奴らとするのもいいだろ』

『うん。年は近いのに幼く見てちゃった』

『それだけ大人になったって事じゃないか?』

『そうなのかな? そうだといいけど……』

『きっとそうだよ』

 彼はこれ以外にも部活とかで凹むといつも慰めてくれる。

 偏見で彼を見ていたが実は優しいんじゃないのかな、とたまに思うことがある。

『坂本、今週の土日あいてるか?』

『土曜日部活が終わってからならあいてるよ!』

『そうしたらスイーツパラダイスに行かないか?』

 彼の言葉からスイパラが出てきたことに驚く。意外と女子力が高いのか?

『スイパラ? いいよ!』

『了解。時間どうする?』

『お昼食べてから行きたいから、一時半ぐらいがいいかな』

『分かった。じゃあ一時半に駅集合で』

『はあい!』

 今週のデートはスイパラに決定した。

 ああ見えて甘い物好きなのかな? それかわざわざ調べたりしたのか? なんて事を考えながら次の日の学校で松田達に話してみる事にした。

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