第4話 初デートを終えて

「紗綾はこの前の土日、須川君と遊んだの?」

 関口が問いかけてきた。初デートと終え、とある日の昼休み。私はいつものメンバーでで談笑をしていた。

「まぁ、うん。一応ね」

「マジ!? 何したの?」

「映画見て、ちょっとぶらぶらしたくらい」

「へぇ、いいじゃん! 楽しかった?」

「つまんなくはないけど……って感じ」

「えぇそうなの? 盛り上がらなかったとか?」

「そうだね。気まずい時が多かったかな」

「じゃあ、やっぱりあたし達が思ってる通りの人なんだ」

 関口が頷きながらそう言った。

 私も適当に返事する。そして何故か私は彼女達にレインボーというロックバンドが好きな事を言わなかった。特に深い理由はなかったが無意識に内緒にしておきたいって思ったのだろうか。

「紗綾、本当にごめんね。悪ノリしすぎちゃった」

 松田がばつが悪そうに謝ってきた。きっとまだ罰ゲームの事を気にしているのだろう。

「ううん! 気にしないで。私も真に受けて告ったりするから……」

「もうさ、適当なところで振っちゃえば? 私には合わないみたい――みたいな感じさ」

 小林が言った。彼女の言う通り、さっさと別れてしまえば全て元通りに収まるはずだ。しかしカフェで見たあの笑顔がどうしてか頭から離れない。それのせいか素直に首を縦に振ることはできなかった。変に誤解されるのも嫌だし、無難な返事でもしておくか。

「そうだね。良いタイミングで言うよ」

「そうした方が良いよ」

 小林が頷いた。すると丁度チャイムが鳴った。

「席戻るね」

 皆それぞれ席へ戻った




 部活も終わり帰路に着く。歩きながら須川にチャット送る。きっと返信来るのも私が寝る前だろう。ボーッと考えならポケットにしまう。

 今日も帰る間際に高岸から疑われてしまった。今度は好きな人ではなく――本当は彼氏いるんですか!? なんて言われてしまった。勘が鋭いというか、女の勘というか。適当にはぐらかしておいたが、彼女にバレるのも時間の問題だと悟った。

「ただいま」

 家にたどり着いた。リビングの方からカレーの香りがする。

「あら、おかえり。今日はカレーよ」

 リビングの方から母、秋江あきえが言った。

 部屋に戻り、着替えてリビングへ向かう。

「はぁ、お腹空いたぁ」

「お疲れ様」

 はい。とカレーを私の前に置いた。

「いただきます……うん?」

 ポケットから携帯が鳴った。手に取り内容を確認する。

『お疲れ』

 須川からチャットが来ていた。今日は珍しく返信が早い。

『ありがとう! 今日の晩ご飯はカレーです』

『美味しそうだな』

 毎日やりとりしているからか、少し会話も弾む様になってきた。だけど話題を持ちかけるのはいつも私からだ。そろそろ話題も尽きてきて、色々考えるのも大変だが、まあこれも大きな進歩と言えるだろう。

「コラ! ご飯食べないがら携帯いじらないないの」

 母はムッとした表情で注意した。

「はいはい」

 取りあえず返信はご飯を食べてからしよう。携帯を再びポケットにしまった。



 ご飯も食べ終え、ついでにお風呂に入ってきてから返信する。

『ごめんね。返信遅れちゃった』

 携帯を手に持ってベッドに腰掛ける。 

『気にするな。そうだ。来週の日曜って部活?』

『うん……部活……。けど午前中で終わるから午後は空いてるよ』

『了解。そうしたらさ。その日、カラオケに行かないか?』

 須川からカラオケの誘いが来た。空いてるいって言ったそば、断るわけにもいかない。

『いいよ!』

『了解、じゃあ来週また終わったら連絡してくれ』

『分かった!』

 彼からの返信はなく、今日のメッセージのやり取りも終了したようだ。

 私はゴロンと横になった。

 来週か。思っていたよりも早く次のデートが決まってしまった。そんなことよりも、須川がカラオケに誘って来てかなり驚いている。彼はそう言った類のことはしないイメージだ。それに須川が歌っている所を想像できない。けど誘ってくるぐらいだから、そこそこ自信があるのか。

 ちなみに私は音痴ではない! と言いたいところだが、歌に関してはあまり自信がない。そんなことを考えていたら憂鬱さと面倒な気持ちになったしまった。そしてその気持ちを抱えたまま約束の日曜日を迎える事になる。

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