「プールの水とともに」

僕らはとっさに耳栓をし、

窓から急いで離れる。


そして、アヒルが口を開けると、

周囲の窓ガラスがいっせいに割れた。


…超音波!?


驚くユウリの口がそう言った気がする。


倉庫の窓は一枚も残らず粉々に砕け、

外へとつながるすりガラスのドアも大きく割れ、

そのガラスをさらに割りながら、

のっそりとアヒルが入ってくる。


すると、ユウリは急いでスマホを打ち、

僕らに見せてきた。


『今すぐ棚の上に逃げて!』


棚の上?


耳が聞こえないのでスマホに

文字を打ち込むのはわかるが、なぜ棚の上?


だが、それは、

前を向いた瞬間に理解した。


アヒルが割ったガラス。

その向こうにはプールがある。


だが、そのプールの中央に

何か盛り上がるものがあった。


それは水の壁。


それを認めた瞬間、

僕は一番近くの棚のてっぺんへと駆け上がる。


直後、ドッと半地下の倉庫の中へと

大量の水が入り込んできた。

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