第5話 すでに俺を中心としてクラスが形成されている件

ドアを開け、イツキ達は新たなクラスである2年E組へと入った。

その瞬間、盛大な拍手が三人を包んだ。

皆、座席から立ち、イツキが来るのを待っていたかのようだ。

また一部の女子達は興奮して、抱き合っている。

それに「生……砂川君久々に見たよぉ〜」と目をハートマークにしてる女子までいた。本当にイツキの存在というのはこの学園内では凄まじいものである。


「おはよう」と爽やかな声でイツキは挨拶する。

するとすぐに「キャァー」という女子達の黄色い歓声が。

それに男子の声も入り混じっているような。


「ええと、席はどのようになっているのかな?」

イツキは一番廊下側の席の女の子に声をかけた。

女の子は顔を真っ赤にさせながらも小さな声で答える。


「あ、あの……黒板に貼られています」と指をさされる方を見てみると、そこにはたしかに張り紙が貼られていた。

「ありがとうね、安藤さん」

「えっ……す、砂川君……わ、わたしの名前……」

もう既にパニック状態のようである。

「ん? どうしたの?」

「ええと、そのわたしの名前を砂川君が知っているんだと……思って」

「……もちろん知ってるよ。それにこんな可愛い女の子の名前を忘れるはずがないじゃないか」

「ええええ……そ、それどういう意味?」

真っ赤な顔をさらに真っ赤にさせている。

イツキの隣に立つ美穂とルリは不機嫌そうに顔をぷくっと膨らませている。

「言葉通りの意味だよ」とだけ伝え、イツキは黒板の方へと向かう。

美穂とルリはイツキの後ろを追いかけた。

「どうやらこれはバラバラって感じみたいだね」

出席順番通りに座ることになるとイツキは予期していた。

どうやらそれは違ったようだ。

「ちょっとこれ! どういうことですか! ルリがイツキ君の隣じゃないっておかしいでしょ!」

「仕方ないだろ。席順がバラバラなんだからさ」

「それはそうだけどー。もー、折角同じクラスになれたのに、これじゃあ意味がないよー」

「意味がないわけないだろ。これからもっともっと楽しいことがあるさ」

「……えへへ。そうだよね。イツキ君と一緒のクラスになれただけでもありがたいと思わなきゃ。そうそう、これは神が与えたルリへの試練」

「うー。あ、アタシも結構離れてるー。イツキの隣が良かったのにー」

「離れてるって言っても、一席分しか離れてないだろ?」

「そ、それはそうだけどー。その一席分が結構大きいんだよ」

「砂川くんーこっちこっちー」と後ろの方から声が聞こえてきた。

そちらの方へと目を向けると、イツキの隣の席に座る女の子が手を大きくあげ、早くこっちにきてとアピールしているようである。

「ああ」とイツキは頷いて、自分の座席へと急いだ。

「おはようー。砂川くんー」とポニーテールの女の子がイツキに喋りかける。

声色はとても明るく、元気がある。

「おはよう、櫛枝さん。今年も一緒のクラスになれて嬉しいよ」

「それはこっちのセリフだよぉー。あたし、砂川くんと一緒のクラスになれたことが嬉しくて嬉しくて、今とっても叫びたい気分なんだー」

「それほどまで喜んでもらえるとこちらとしても嬉しいよ」

「……ねぇねぇ、もう叫んでもいいかな?」

「俺に聞かれてもなー。叫びたいなら叫んだ方がいいんじゃない? もちろん、周りのみんなに悪い影響が起きない限りは」

「うう……周りに影響を受けちゃうからダメだね。あーでも鼓動がドクドクと早くなって、今とっても心が叫びたがっているんだぁーって感じだよー」

「そっか。それは困りものだねー」

「うんうん。本当に困ったものだよー。まぁ、あたしの問題なんだけどね。あーそれよりもこんな感じで砂川くんと会話してるのってお久しぶりだよねー」

「まぁ、春休み期間中一度も出会わなかったからねー」

「うん、そうそう。あたしはずっとずっと砂川くんに会いたくて会いたくて仕方がなかったよー。砂川くんに話したいことがいっぱいいっぱいあるんだよー」

「あはは、俺もだよ。櫛枝さんが喜んでくれるかどうかは分からないけど多少は春休みに厄介ごとに巻き込まれてねー」

「えーまたまた砂川くんだけーずるいよー。砂川くんの身の回りで事件が起きたときはあたしも駆けつけるから連絡してって言ってたじゃんー」

「急用だったんだよ。ごめんねー」

「それでどんな春休みを過ごしていたの?」

目を輝かせながら興味津々に話を聞き出す櫛枝。

「実は……」


と、その時だった。


『生徒の皆さんは体育ホールにお集まりください』

放送部女子生徒の指示が二度入る。


「そうだよなー。今日は入学式だったよなー」

「あぁーそうだぜ。どんな可愛い子がいるか気になるぜ!」

「さっさと帰りてぇー」

「砂川君と一緒のクラスって凄いよねー」

「あぁー愛しの砂川様♡」

様々な声が入り乱れながらも、生徒達は放送の指示に従うこととなった。


「あー櫛枝さん。悪いがこの話は今度ってことで」

「……仕方ないねー。本当は砂川くんの活躍を早く聞きたかったのにー」

「まぁ、それはまた今度ってことで」

「うん、楽しみに待ってるね」

「じゃあ、俺ちょっと用事があるから」

「用事?」

「そう、用事」とニコッとイツキは笑った後、走り始めた。

「えー砂川くん。そっちは体育館じゃないよー」と櫛枝が言葉をかけたけれど、イツキは「大丈夫大丈夫ー」とだけ伝え、そのままどこかへ行ってしまった。


イツキが向かった先は四階にある小さな教室。

ここは小さいけれど、れっきとした写真部の部室である。

正直あまり綺麗ではないし、換気もやっていないのか埃っぽい。

だが、そこにはイツキが待ち望んでいた人がいた。

黒髮ツインテールの女の子はイツキが部屋に入ってくるとスッと顔だけ、イツキの方に向け、「遅いです」と言葉を漏らすのであった。

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学園最強の砂川君は超絶美少女達に溺愛される青春ラブコメを謳歌するそうですよ! √7 @ruto7

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