第4話 砂川様ファンクラブ

「砂川君と一緒のクラスだったーよぉ!」

「えー羨ましいー」

「ずるいですわ! 砂川様と一緒のクラスだなんて!」

「えー何を言ってるの? 皆んな一緒のクラスじゃんー」

「圧倒的幸せ」「神からのお導き」「砂川様……」


三人の少女達が砂川君然り砂川様、つまりはイツキのことを噂しているようだ。

話を察するに、イツキに好意を持っているのだろう。

と、その時だった。彼女達の前方に現れた一人の男子生徒。


「あ、あれ……砂川君だよねー?」

「すっ、砂川様〜」と、目をハートマークにさせた。


「おっはー砂川君」

「おはようー砂川君!」

「おはようございますわ。砂川様」


三人の女子生徒がイツキに喋りかけてきた。

彼女達は、砂川様ファンクラブの一員である。

そして設立者である。また、全員が全員、夜な夜なイツキのことを思いながら、あんなことやこんなことをしちゃうメルヘンチックな乙女なのである。


「三人共、おはようー」

だが、三人の表情が固い。

あれ? それに目線が俺の方から隣の方に向いている気が……。


「ちょっとーお二人さん。そのさ、流石に調子乗りすぎじゃない?」と、アカネは叫んだ。アカネは赤髪ロングの女の子。

三人組のリーダー格的存在で、もちろん夜の妄想も一人だけズバ抜けている。

いつもイツキの前ではニコニコ笑顔の女の子のはずなのに……どうしてそんなにも怒っているんだろうか。


「はぁ? それどういう意味かしらー?」

「あらあら、どういう言い回しですか? 四位さん」


「よ、四位って……」と、歯ぎしりを立て、アカネは抗戦する。


「その通りの意味よ! あなたたち、二人はただの幼馴染と元カノでしょ? だったら、さっさと砂川様から離れてくれませんこと?」


「アンタねー。十分に幼馴染という属性を持っている時点でイツキのそばにいていい条件があると思うんだけど」

「ルリも条件があると思うなー。一応現在はイツキ君の意向で元カノとしての立ち位置だけど……絶対にまた彼女としての座を頂くから」


「ふっ、ただの雑魚は黙ってくれるかしら」

後ろから「そうだーそうだー」という砂川様ファンクラブ会員No.2とNo.3の声が聞こえてくる。


「何が雑魚よ!」

「面白いことを言いますわねー。あ、ルリ知ってるよー。こういうのって、負け犬の遠吠えって言うんだよねー?」


「ふふっ、わたくしは砂川様ファンクラブ会員No.1ですわよ。ひれ伏しなさい」


「……残念だけど、アンタはただのファンでしょ?」

「ふーこれだから困るんだよねー。ファンはさっさと黙っててくれないかな? ルリたちはイツキ君の『彼女』の座を狙っているし、それに結婚を考えているんだから」

「ほら、時間の無駄ね。イツキ、さっさと行こ。こんな下らない女なんて忘れてさっさと教室に行かないと、遅刻しちゃう」

「そうだよー。早く行こっ、イツキ君」

「あぁ。じゃあ、行こっか。だが、ちょっと待ってくれ」

「え?」「別に相手にしなくてもいいよー」


イツキは三人の方へ目を向け、言葉をかけた。


「三人共、一緒のクラスだったね。これからもよろしくね」

イツキは爽やかに言い退け、そして美穂とルリを引き連れ、教室へと向かうのであった。


三人は憧れの砂川様に言葉を貰い、全員が「ウヘヘ」と頭をフルに活用して、妄想することに従事するのであった。

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