第2話 元カノさんが降臨するそうですよ!

「あーそれで優里ちゃんはどうしたんだよ?」

優里アタシの妹は新入生代表だから早めに行くんだって」

「なるほどな。それで姉の方はこうして遅刻ギリギリと」

「まぁーね。だって、イツキとどうしても行きたかったし」

「そっか。でも、別に俺を待たなくてもいいんだぞ」

「アタシはイツキと一緒に行きたいのー」と言って、左側の腕をブラブラと動かす。構え構えとおねだりしてるみたいだ。

「本当、美穂は変わらないよなー。昔から」

「うん! 絶対に変わらないよ。アタシの気持ちはずっと前からね!」

にへへと白い歯を見せながら笑いかけてくる。

「で、でもね……アタシの身体は結構変わったんだよ? これぐらいあれば、イツキは喜んでくれる?」

肉付きの良い美穂。どちらかと言えば、ぽっちゃりとした感じだが、そこが逆に女性らしいというか、肉付きが良くてもっと触っていたい感じになってくる。

かといって、太っているわけでもないんだよなー。

程よいスタイルっていうのが正しいのかな?

「い、いたっ」

見てみると、真夏がイツキの右腕を摘んでいるようだ。

イツキは小声で真夏に聞こえるように呟く。

「真夏、痛いだろうが。摘むな」

「兄さんが悪いもん。兄さんがわたしを蔑ろにするから」

「別にしてないだろ」

「したもん。兄さんはわたし以外の女の子と会話するの禁止!」

「さ、流石にそれは無理だって」

「そ、それに……兄さん、わたし以外の女の子に鼻を伸ばしてたー」

「してないって」

「してたもんー。絶対にしてたもんー。わたしのことだけを考えてくれないと嫌だもん」

「悪気があったわけじゃないんだよ」

コロッと態度を変え、真夏が優しい笑みを見せてくる。

「じゃあ、わたしだけを考えてくれる?」

「それは無理かなー? あはは」

「もうーじゃあいいもん」プイッと真夏は顔を背けてしまった。

「真夏ちゃん、嫉妬してくれてるのかなー?」とニタニタと小馬鹿にするように美穂が追い打ちをかける。

「折角兄さんと同じ学校にしたのに……これじゃあ台無し。栄養が頭の方に行ってないどこかの誰かさんのせいで」

「そんなことを言いながらもその誰かさんと同じ学校に通っているくせに胸が小さい人には言われたくないけどなー」

「これから成長するんですー! 伸び代がまだまだあるんですー」

「へぇーそうなんだー。それは良かったね(笑)」

「兄さん、わたしこの人とは絶対に仲良くできない」

「それはこっちのセリフ」

「おいおい、真夏も美穂も仲良くしてくれよ」

「じゃあー兄さんは胸が大きい方と小さい方、どっちが好きなの?」

「それは良い質問。はっきりしてもらいましょうか、ねぇイツキ」

ニタァとした表情で美穂が笑いかけてくる。

「うーん。俺はどっちでも良いと思うぞ」

「それはなし!」「それはありえないから」

二人同時から批判されたので、もう一度イツキは言い直す羽目になった。

で、でもなー。どっちが好きかなんて。

「……大きい方?」

「ジャスティス!」と美穂が大きな声で腕をあげる。

それに引き換え、真夏はがっくりと肩を落として落ち込んでいるようだ。

「やっぱり、胸は大きい方が正義なのよねー」

「でも、大きすぎると俺は嫌だけどな」

「え?」

「まぁー言い方は悪いが、奇乳とか俺は無理なんだよ。だから朗らかな形の整った美乳が俺は好きなんだよ」

「……兄さん、堂々と公共の場で胸について語れるって流石」

「ねぇ、イツキ! あ、アタシの胸はどうかな?」

美穂が中心に胸を押し寄せ、イツキをアピールしてくる。

かなりデカイ。弾力があって、触り心地がいいんだろうな。

「兄さん……鼻を広げすぎ」

「ち、違うって」

「それに下の方も大きくなってる」

「なってませんから!」

「へぇーイツキ。アタシで興奮してるんだぁー」

「違う。わたしの初制服姿に興奮してるだけだから」と、真夏が張り合った。

「だからしてませんって」

「イツキ。手を貸して」

「ん? どうしてだ?」

「いいからいいから」

言ってるそばから、イツキの手を掴んできた。

そして美穂はイツキの手を胸の方へとググッと近づけた。

「え……お、お前何をやっているんだよ!」

予想以上の弾力加減に驚いてしまう。

ふかふかだ。でも柔らかさの中にしっかりと反発してくるというか。

「ああ、い、イツキ……あ、朝から激しいよー。アタシは別にそれでもいいんだけど……あ、イツキ、流石に胸を触りすぎ」

あ、しまった。あまりの触り心地の良さについつい揉んでしまっていた。

「ああああ、悪い。美穂! 別に悪気があったわけじゃないんだ」

「悪気はなかったんだ。じゃあ、もっと触りたいってこと?」

「ってわけじゃないんだけど」

反対側からスッと手が伸びてきて、イツキの腕を掴む。

そして美穂の胸から手を離せと言わんばかりに揺らしてくる。

それに応じて、胸をガッツリ掴んでいる手が揺れ、美穂の胸が揺れる揺れる。

ぐらんぐらんと揺れに揺れてしまい、そのまま何かが手に引っかかり布切れをツルンと引き剥がしてしまった。


「あっ、あっ。だ、ダメだって。イツキ、流石にそれはダメ−。らメェ、それは……そこはらメェ」

美穂が艶かしい声を出して、もうやめてとイツキに訴えかけてくる。


あれ? はっきりと熱が伝わってくる。

それに何か突起物があるような。


「っんぁ。い、イツキ……そ、そこはダメ。ってたい、ダメらノォー。そこは、そこだけは、ぜったいに触っちゃダメなのー」

淫乱な声を上げる美穂。

でも、腕を離そうとしても、真夏がイツキの腕を揺らし続けるから。


「お、おい……真夏。離せ離せって」

「いや! 兄さんがその手を離すまでは絶対に嫌!」

「俺は離そうとしているんだが……美穂が俺の手を掴んでいるから……」

「美穂、その手を離してくれ」

「……ええ? ちょっと今は無理かも♡」

「もうーこの淫乱女!」と真夏が歯ぎしりを立てる。

と、そんな時だった。後ろからまたまたうるさい声が聞こえてきた。

「イツキくんー♡ イツキくんー♡」

その声を聞いて、美穂から手がスルスルと離れていった。

真夏と美穂の目がキリッとして、とっても怖い。

完全にイツキ達の方へ近づいてくる女の子に敵意を剥き出しにしている。

そして、彼女はピョーンと飛んできて、そのままイツキに抱きついてきた。

「ふふふー久し振りなのだー。イツキくん!」

イツキに突然抱きついてきた女の子は元カノである。

名前は、銀座瑠璃ギンザルリ

煌めかな銀髪ショートヘアにはちきれんばかりの巨乳美少女。

去年のミスコンで見事一位に輝いた学園屈指の美人さんである。

ちなみに、イツキがミスターコンでは優勝した。

「ったく……瑠璃は本当にいつも元気だなー」

「むふふ、これも全部イツキくんの近くにいる時だけなのだー」

瑠璃の顔を俺の顔に擦りついてきて……。

それにしてもとっても良い匂いがするぞ。ってか、ほっぺた柔らかすぎだろ。

「イツキに気安く触らないでストーカー!」

「そうです! そうです! 兄さんに触らないでくれますか! あなたは特に!」

「……ねぇ、イツキくんー。今、変な声が聞こえたよ? あれ? おかしいねー。ここにはルリとイツキくんしかいないのにねー」

「ちょっとさっさと離れなさい!」

「早く兄さんから離れてゴミ箱に帰ってください!」

「……あーもー。うるさいよ、三位。それと、部外者は黙っててくれる?」

「三位って、アンタねぇー」

「でも、負けたでしょ? ルリにミスコンで負けたでしょ? むふふー」

「ック………」

「わたしは部外者ではないです! れっきとした兄さんの妹です!」

「だからだよ。妹ちゃんは残念だけど、勝ち目はないの? ねぇ、分かる?」

「兄さんはわたしのものです!」

「それ無駄だよ。だって、イツキくんの心はルリのものだもん。ねぇー? イツキくんー?」

「そんなことはないぞ」

「え?」

「悪いが、俺の心は俺のものだ。それと……お前を振ったのはお前の性格が問題だと言ったことを忘れたのか?」

「わ、忘れたわけじゃないけど……」

「だったら改めろ」

「えーでもルリは」

「人を見下すのはやめろ。俺が大切な人を見下すな」

「……ルリもイツキくんのそういうところ嫌いなのだー。ルリのことだけを考えて欲しいのだー」むくっとほっぺたを膨らませて、イツキに近寄ってくる。

「そ、それに……みんなの前であっさりとルリを振ったイツキくんの罪は重いのだー。絶対にルリにメロメロになってもらわないと困るのだー!!」


瑠璃がイツキの元カノであったことは間違いない。

イツキの通う学校には謎的な風習がある。その風習というものが、ミスターコン一位とミスコン一位が付き合わなければならないというものだ。

そして、イツキと瑠璃は付き合った。だが、五秒後にはすぐに振ったのだ。

皆んなが居る体育館の前で、あっさりと振ったのである。

彼女は以前からイツキに好意を持っていたらしいが、この一件を通して絶対にイツキをメロメロにさせて復讐してやると誓っているみたいだ。

でも、いつも返り討ちにあっているのであった。

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