学園最強の砂川君は超絶美少女達に溺愛される青春ラブコメを謳歌するそうですよ!

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第1話 幼馴染と妹は朝から俺の取り合いをします

「お兄ちゃん、朝だぞ! 起きるのだぁー!」

カーテンの隙間から入ってくる日差しに嫌気がさしながらもイツキは目をゆっくりと擦り、まだベッドから出たくないと毛布を掴んで抵抗する。

「もうー早く起きないと遅刻するよ!」と、真夏は溜息を吐いた。

「もうちょっとだけ……あと五分」

イツキは毛布を顔が隠れるまで上げる。

「ダメ! お兄ちゃんはいつもいつもそういうんだから」

「…………………」

「って、もう寝てるし! もうぉー、お兄ちゃんのバカ!」

ボフンと大きな音を立て、真夏マナツがイツキの上に飛び乗ってきた。

「グフッ」と重みの影響で声が漏れてしまう。

「お兄ちゃん……お、重かった?」

「そ、そんなことないぞー。大丈夫だ。安心しろ」

「……そ、それは良かった」

「あ、それよりも早く降りてくれないか?」

「あ、ご、ごめん」

慌てて真夏がイツキから飛び降りた。うう、大分身体が軽くなった。

やはり、朝っぱらから毎日飛び乗りを食らうのは身体に悪い。

それもいきなりだからなー。手加減を知らないのか。

「それよりもお兄ちゃん、早く起きないと学校遅刻しちゃうよ」

「……ん、学校? 何を言っているんだ? 今日はまだ春休みだろ……」

「お兄ちゃん、寝ぼけてないで。早く起きないと。今日から学校がスタートだよ!」

「が、学校がスタート?」

「そう、真夏とお兄ちゃんの高校生活がスタートだよ!」

「えええええええ、も、もしかして……もしかして……今日から学校があるのか?」

「そうだよ、普通にあるよ!」

「や、ヤベェー。急がねぇーと」

イツキはベッドからサッと飛び起きた。

そして真夏に一言。

「真夏、おはよう。そして……今日からまた一緒の学校になるけど頑張ろうな」

「うん! お兄ちゃん!」


朝から上機嫌な妹に襲われる、あ、違うか。

朝から上機嫌な妹に起こされる毎日。

また、こうしてイツキの当たり障りのない日常が始まるのである。


身支度を済ませ、適度に髪を梳かして、綺麗に整える。

「ほらほら、急いで急いで。遅刻しちゃうよ! いつもお兄ちゃんはかっこいいから大丈夫だよー」

真夏は白と藍を基調とした制服に身に纏い、嬉しそうに玄関先にある鏡とにらめっこしている。肩に当たるか当たらないかぐらいの茶髪を揺らしながら、何か変なところがないか確認のようだ。

「大丈夫だよ、真夏。真夏はいつも可愛いから」

「……お、お兄ちゃん。そのありがとう。で、でも……わたしはお兄ちゃんの妹として絶対にお兄ちゃんには恥をかかせたくないから」

「分かってるよ。お兄ちゃんのために真夏は頑張ってくれてるんだよな」

「う、うん……」と頰を赤く染め、恥ずかしそうに真夏は俯いた。

イツキは真夏を励まそうとして、彼女の頭の上に手をポンと置き、撫でてあげることにした。

「真夏、お前は可愛い。最高の妹だ。だから安心しろ。お前の可愛さは俺が保証する」

真夏は顔は真っ赤になっており、上目遣いでイツキの方をジッと見てくる。

でも恥ずかしいのか、目線を合わせてくれそうにない。

「…………わ、わたしもお兄ちゃんのかっこよさを保証する」

「それはどうも」とイツキは小さく微笑んだ。

「じゃあ、行こっか。真夏」

「うん! 行こっ! お兄ちゃん!」

「待った。真夏。俺のことはお兄ちゃんじゃなくて、兄さんだろ?」

「むー。まだ家の中だもん! だからまだお兄ちゃん!」

「分かったよ。でも、外に出たら兄さんだ。約束だぞ」

「う、うん。いいよ、約束だよ。で、でも……一つだけお願いが」

「お、お願い?」

「うん。その、腕を組んで歩いてもいい?」

「まぁー別にいいけど。っていうか、真夏は俺の許可を取らなくても俺の横にずっといるだろうが」

「まぁーね」とニコッと微笑んだ。

「じゃあ、早く行こっ! お兄ちゃん!」

真夏に引っ張られて、イツキはそのまま玄関のドアを開け、外に出た。

もちろん、鍵をかけることを忘れることはない。

…………と、家を出てから数メートル。

後ろから大きくて元気な声が聞こえてきた。

「おーはようぉ! イツキ!」

その声は、イツキにとって聞き慣れた声であった。

後ろを振り向くと、そこには……イツキの幼馴染である、吉沢美穂ヨシザワミホがこちらに向かって走ってくる姿があった。魅惑の果実をたぷんたぷんと揺らしながらである。正直、健全な男子高校生には刺激が強すぎる。

まぁ、イツキは既にこういうのは慣れているのだけど。

「おはよう、美穂」

真夏がイツキの腕を強く引いて、歩くスピードを速める。

無視して先に行こうと言いたげである。

「んー」と美穂がイツキの隣を方を見て、邪悪な笑みを浮かべた。

「そっかー。美穂ちゃんも今日からアタシたちと同じ学校だよねー」

「……別に美穂さんと同じ学校に来たかったわけではありません。わたしは兄さんと同じ学校に行きたくて」

真夏がイツキの腕をぎゅっとし、さらに自分の胸元へと近づける。

柔らかい感触が肘に当たっているが、何も言うことはできない。

「ふーん、まだブラコンのままなんだぁー。知ってる? 兄妹って結婚できないんだよー?」

「わたしの愛をブラコンなどという言葉で片付けないでください。わたしは本気で兄さんを愛しているんです」

「へーそれで? 結婚は?」と意地悪そうに美穂は問いかける。

「おい、美穂。いい加減にしろ。真夏が可哀想だろ?」

「に、兄さん……」と涙目になった真夏。

「もうー面白くない!」

そう言って、イツキの左腕を美穂が掴んできた。

「ちょ、何をするのですか! 兄さんはわたしだけのものです!」

「何を言ってるのかしら? イツキはアタシのだから! 絶対にアンタみたいな妹キャラにはあげないんだから!」

「……おいおい、俺は別に誰のものでもないっての」

「イツキ……」「兄さん」

「まぁ、今日は真夏の入学式なんだ。だからさ、明るく行こうぜ?」

「わ、分かったわよ」

「ありがとう兄さん。だーいすき」

「アタシの方がイツキのこと好きだからー!」

そんな不毛な争いを行いながら、イツキたちは学校へと登校するのであった。

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