旅の終わり
惑星エデンの
その
そして【
アルトリアやエリク達はそれを見送りながらも、その場に残る脅威の【
そうした状況の中で、ジュリアに向けて口を開く者がいる。
それはエリクの隣に立つアルトリアであり、鋭い青の瞳を向けながら問い掛けた。
「アンタ、どうする気?」
「お、おい……!」
無遠慮に話し掛けるアルトリアに、構えながら警戒していたケイルは驚きながら呼び止める。
しかしそんなアルトリアを睨みながらも、何処か気まずい様子を浮かべるジュリアは顔を逸らしながら答えた。
「……どうするって?」
「アンタ自身がマナの
「……」
「でも、そのままの
「――……
「!」
ジュリアに向けていたアルトリアの問い掛けを、一つの声が遮る。
それはその場に歩み寄って来た『白』の
「膨大なエネルギーの
「……チッ」
「そのまま放置しておくと、君の
「!」
「そして
「……ッ」
「色々とやっているとは思ったが、流石は『黒』だな。そして『白』である余も、今回の事態にはかなり役立っていたようだ!」
「……っていうか、アンタ誰?」
「え、今更っ!?」
自慢気にジュリアの行動原理を話す『白』の
アルトリアは
そんな辛辣なアルトリアに対して、溜息を漏らしたケイルが一言を加えて教える。
「『白』の
「……あぁ、なるほどね。……だったら
「えっ」
「
「いやだって。余って
「つまり手遅れになってからしか動けないってことじゃない、この役立たず」
「や、役立たずって……そこまで言うっ!?」
「事実でしょ。……ったく、『白』の
「……さ、流石にそこまで言われると……
「知らないわよ、勝手に泣いてなさい」
「う、うぅ……。……最近の
辛辣な言葉を向け続けるアルトリアに、『白』の
するとそうした言動を見せるアルトリアを見ながら、ジュリアは溜息と共に笑みを零しながら呟いた。
「……確かに、
「ん?」
「……アタシは、
「えっ」
そう言いながら背を向けて浮遊し始めるジュリアに、全員が驚きの様子を見せる。
しかしアルトリアはそれを見上げながら、怒鳴るように問い掛けた。
「アンタもしかして、私とウォーリスが
「……ああ」
「やっぱり。
「あ?」
「アンタは気付いてたはずでしょ、私が送った自爆の
「……」
「いえ、実際には
マナの
するとジュリアは
「……お前が何かを犠牲にしてでも世界を救う選択をしたら。アタシは迷わず世界を破壊した」
「!」
「何かを犠牲にしなきゃ救われない世界なんて、要らないだろ。……でもあの時、お前等は何も犠牲にしない選択をした」
「!」
「それを評価して、あの時は勘弁してやっただけだ」
「……貴方……」
「だからって調子に乗るなよ、人間。……アタシは今でも、人間って種族を滅ぼしたいぐらいには憎んでるんだからな」
「……ッ」
「それでも今回は、ジャッカスの顔を立ててやる。……アイツは、アイリにとっては大事な
「あっ、ちょっと! まだ話は――……あー……」
ジュリアはそう答えた後、浮遊しながら樹高を超え別の方角へ飛び立ってしまう。
それを追う為に自身も飛翔しようかと僅かに迷うアルトリアだったが、万全ではない自身の状態を思い出し胸に走る傷みを感じながら諦めて見送った。
そんなアルトリアを見ていたエリクは、彼女にこの言葉を向ける。
「アリア」
「!」
「今度は、無事で良かった」
「……毎回、私が無事じゃないみたいな言い方ね」
「無事だったことがあるか?」
「まぁ、無いわね。……それに、今回も無事じゃないわ」
「なに?」
「
「……そうか。……だったら、少し安心した」
「え?」
「もう、君が無茶をしなくなるなら。そんな強い
「……よく言うわ。自分も散々、無茶しといて」
「俺はいいんだ」
「何よそれ」
「君を守る為なら、俺はどんな傷でも背負う。……君と初めて出会った時、そう決めた」
「!」
「だから、君が傷付くのは見たくない。……本当に、もう……無茶はしないでくれ」
「……私と約束しても、また破るわよ」
「そうか。……そうだったな」
二人はそう話し、この事態を共に乗り越えたことに安堵する様子を浮かべる。
それでも初めて出会った時の二人とは違い、今の姿は体格的にも精神的にも大きく成長しているように見えた。
そんな二人の背中を見ているケイルは、複雑な表情を浮かべながら気を沈める。
するとそんな
「ケイルお姉さんも行かないの?」
「……行けるかよ、あの
「行っちゃえばいいのに。というか、一緒に行こ!」
「お、おいっ!」
マギルスはそう言いながらケイルの背中を押し、二人が話す傍に近付かせる。
そして無邪気な笑みを浮かべるマギルスは、改めてエリクとアルトリアに話し掛けた。
「おじさん達、僕達も
「マギルス、ケイル」
「……じゃ、邪魔して悪いな」
「邪魔……何のことだ?」
「……別に、何でもねぇよ」
「?」
近付き話に加わった二人の中で、不機嫌そうな顔を見せるケイルにエリクは首を傾げる。
そうした空気を無視するように、マギルスは自身の話題を向けた。
「おじさん、鬼神のおじさんって
「ああ」
「じゃあ、お姉さん達も御礼言った方がいいよ? 二人とも、鬼神のおじさんが助けてくれたんだから」
「え?」
「そうなの?」
「あ、ああ」
【
それを肯定するエリクだったが、その
『――……礼なんぞ要らん。俺がジュリアをぶん殴りたかっただけだって言っとけ』
「だが……」
『俺は、テメェ等なんぞ助けたつもりは無い。……ジュリアをぶん殴るのに、邪魔だったから
「……そうか」
『フンッ』
「――……!!」
悪態を見せながら
それに納得しながらエリクが微笑んだ次の瞬間、聖域に再び黄金色の極光によって包まれた。
そして更地となった大地の中心部にて、
すると数十秒後、黄金色の極光は消える代わりに『マナの
それを多くの者達が目撃しながらも、その
更に
こうして一連の騒動は真の幕を閉じ、滅びを予言されていた世界は再び元の景色を迎える。
そして人間大陸で繰り広げられた彼等の冒険譚もまた、一つの
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