受け継ぐ者に
『聖剣』の
それは世界の景色を一変させ、多くの者達が目にする状況となった。
一方で
それを止める為に
それは彼等が目にする『マナの大樹』が、かつて魔大陸において【
しかも次々と発生する事態の終息する気配も見えぬ中、全く異なる脅威が彼等に迫り始める。
それをこの時点で察知できているのは、エリクとマギルスだけだった。
そんな二人を残したままマナの
しかしただ歩いているわけではなく、ケイルの
「――……イ、イメージって……何をイメージすんだよ」
「だから、
「見た、けどよ……。それをイメージして出せって言われてもな……。もっと詠唱とか言葉とかで出せたりしねぇのか?」
「魂を基点にして魔力を変換し具象化させる魔法と似た性質ではあるけれど、
「……クソ、やっぱ出せねぇ……。……お前は、どうやって
「
「……」
「
歩きながら
それを知り
しかし今までの話を聞いていたケイルが、改めて疑問を零す。
「……ちょっと待てよ。なんでウォーリスの奴は、
「多分、違うわ」
「なんでそう思う?」
「もしウォーリスが
「だったら、どうして……」
「恐らく、あの
「
「
アルトリアはそう話し、ウォーリスが
するとケイルもまた、聖域の戦いにおいてウォーリスと対峙した際、彼がマナの大樹から赤い実を捥ぎ取って食べていた事を思い出した。
「そういえばアイツ、
「そういうことね。そういうのも、ゲルガルドから得た知識だったんでしょうけど。……でも結局は、それは
「……結局、本当の
「そういうことね。……やっぱり、私がやるしか――……!!」
「なんだっ!?」
話していた二人の声を遮るように、突如として僅かな振動と轟音が鳴り響く。
すると空を見え難くしている生い茂る樹林の先に僅かながらも赤い炎が巻き起こるのを視認し、何が起きているのかを二人は察した。
「あの火は……ユグナリスッ!?」
「この
「急ぎましょう――……っ!!」
「クソッ、また乗れっ!!」
『生命の火』を使った戦闘をユグナリスが行っている事に気付いた二人は、マナの大樹に何が待ち受けているのかを察する。
そして走ろうとするアルトリアは胸に鋭い痛みを感じながら膝を崩すと、ケイルは
巨大な樹海の根を身軽に飛び移りながら超えていくケイルは、そのまま一分も立たずに
すると次の瞬間、『
「――……グァアッ!!」
「!?」
「ユグナリスッ!!」
「……クソッ!!」
木の幹に直撃しながら停止したユグナリスは、額から血を流し傷を負った姿を見せている。
それでも意識を保ちながら『
その赤い閃光は上下左右の様々な軌道を
そして視認する事すら難しい速度で迫ると、そこに立っている人物が無造作に振った右拳がユグナリスの左顔面に直撃した。
「ッ!?」
「――……そこそこ速いけど、慣れれば直線的過ぎるかな。君の動きは」
「!」
再び別方向へ吹き飛んだユグナリスは、そのまま地面を削りながら背中から倒れ伏す。
しかし直撃を受けた顔面を癒しながら上体を起こし、地面に膝を着きながらも立ち上がろうとしていた。
そうしたユグナリスを他所に、ケイルとアルトリアの視線は彼を殴った人物に注がれている。
それこそが彼女達の懸念していた存在、メディアだった。
するとメディアは訪れた
「やぁ、随分お早いおかえりだね」
「……ッ」
「コイツが……!!」
皮肉にも聞こえるその言葉を聞き、アルトリアの表情は僅かに渋さを強める。
するとケイルが表情の険しさを増し、背負っている
それに気付いたアルトリアは、焦りながら呼び止める。
「ケイル、ダメよ! 貴方でも、アイツには……!」
「……ッ」
右腕を掴みながら止めたアルトリアの言葉に、ケイルは
そんなケイルも見たメディアは、何かを考えながら声を向けて来た。
「あれ、そっちの子も
「……!!」
「ちゃんと今まで生きてたんだねぇ。君が
「……テメェがッ!!」
自身の知る
その言葉によって確信したケイルは、目の前に居る
その瞬間、アルトリアが掴み止めている手をケイルは振り払う。
更にユグナリスと同じ『
すると次の瞬間、ユグナリスにも引けを取らぬ速度でケイルは走り出す。
それと同時に左腰に携えた長刀の柄に右手を触れさせ、瞬く間に迫ったメディアに『
コンマ三秒にも満たぬ程の接近と、コンマ一秒にも満たぬ居合の斬撃。
合わせればコンマ五秒となる
そしてメディアとケイルの動きが僅かに重なった瞬間、二人の動きが止まる。
それで二人の様子を視認できたアルトリアは、外れなかった自身の予想に悪態を漏らした。
「……だから、言ったのに……っ」
「――……ッ!?」
そんなアルトリアとは裏腹に、ケイルは『
驚愕の理由は、
そして引いても押しても微動すら出来ない摘まみ止められた長刀に、ケイルは咄嗟に左腰に留めている小太刀を左手で引き抜く。
すると長刀を止めている左手を落とそうとすると、今度は右手で摘まみ止められてしまった。
「クソッ!!」
「最初の
「!?」
「うーん。まぁ、
「ッ!!」
メディアはケイルを見ながら微妙な表情を浮かべて呟いた後、摘まみ取っていた大小の刀をケイルから取り上げる。
更に別方向に投げ放ち、ケイルから
そして次の瞬間、刀を放り投げたメディアの右腕が手刀を作り出す。
すると動揺し『
アルトリアはその
立ち上がったユグナリスも『
この場において誰もがメディアの
そして
「ケイルッ!!」
「ぇ……あ……?」
「……え?」
アルトリアはケイルが胸を貫かれたと視認し、必死の形相で叫ぶ。
しかし貫いたメディア自身が微笑みを浮かべ、静かに呟く。
「……まいったね、そういう防ぎ方もあるわけだ。『黒』――……いや、今はリエスティアかな?」
「!?」
メディアはケイルの胸部から右腕を
それを見たアルトリアは驚愕し、メディアが視線を向けた先を追った。
するとそこには、藍色の
そしてメディアに対して黒い瞳を向けながら両手を翳し向け、その傍には行方不明だったメディアの右手が地面に落ちていた。
それを見たアルトリアやユグナリスは、彼女の名を呼ぶ。
「クロエ……!?」
「リエスティアッ!!」
「――……もう、貴方の思い通りにはさせません。……今度は私も、
その場に現れたリエスティアはそう言い放ち、覚悟を持った黒い瞳を向ける。
その
こうして圧倒的な
今まで様々な者達に守られるだけだった彼女が、ついに『黒』を通して自身の
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