殺気の激衝
『世界を滅ぼす者』として自らの意思により世界を滅ぼす『敵』となることを選んだログウェルは、自身の
それに応じるエリクもまた、
互いに世代こと違いながらも、
しかし傍に立つ
「――……
「……」
「他に、他に何か方法があるはずなんだっ!! こんな形で戦うなんて――……」
「ユグナリスや。ちと、黙っててくれんかね」
「!」
「儂は今、久方振りに
「……ッ」
二人の戦いを止めようとするユグナリスに対して、ログウェルは凄まじい殺気を向けながら黙らせる。
今まで訓練で見せていた殺気とは比較できぬ程の寒気と恐怖を抱いたユグナリスは、思わずを声を途切れさせた。
しかし対峙しているエリクは、その殺気を感じ取りながらも右手に握る
すると何かを考えた後、ログウェルに呼び掛けた。
「少し、いいか?」
「ん?」
「この
「おや、
「いや、逆に邪魔になるだろう。俺にとっても、お前にとっても」
「……ほっほっほっ。
二人が本気で対峙する上で邪魔となることを認識したエリクは、聖剣をユグナリスに預ける事を選ぶ。
それを了承したログウェルの意思を確認し、エリクは
そこで
「持っていろ」
「……どうしても、戦うんですか?」
「それ以外に、あの男は
「……その
「そうかもしれない。だがその時、あの
「!?」
「奴は本気だ。……お前は、あの
「……ああ、そうだ」
「だったら、お前は見守れ」
「えっ」
「
「……ッ」
エリクはそう話し、改めて聖剣を渡すように右手を動かす。
二人の戦う意思を止められずに表情を強張らせながら歪めるユグナリスは、渋々ながらも右手を離して聖剣を受け取った。
すると改めて、エリクは
「お前も、邪魔はするな」
「じゃ、邪魔って……。……
「これは、俺とあの
「いや、君も
二人の戦いを邪魔する意思を残す
しかしそれを阻んだのは、左手と右脚で
拘束する
「……ログウェルを、殺すんですか?」
「あの
「……分かりました……。……ログウェルを、お願いします……っ」
既に自分の
それを聞き僅かに頷いた後、エリクは
「バルディオス。コイツ等と一緒に離れていろ」
『むっ、いいのか?』
「ここにいると、お前達も巻き込まれる。死ぬぞ」
『わ、分かった。……おい、赤髪の坊主。そこだと振り落としかねし、二人の戦いを視るなら
「……はい」
エリクの呼び掛けでバルディオスも離れる事が最善だと理解し、ユグナリス達を
それを確認したエリクは改めて地面に飛び降り、ログウェルを見据えた。
すると
その風に
「これで、邪魔は入らんな」
「ああ」
「さて。戦う前に、一つだけ決めておこうか」
「?」
「お前さんも察しておったろう。……どちらかが、死ぬまでやろう」
「……ああ」
二人の戦いには一つの
そしてログウェルは銀色の刃を持つ剣を右手で抜き、エリクもまた背負う黒い刃の大剣を右手で持った。
それから二人は静かに構えると同時に、大気すら揺らす凄まじい
「――……な、なんだっ!?」
「これは……
「並大抵の
「……先程の
「あの
「せやね。……『白』はどうしたんやろか?」
シルエスカや
それは戦っていた『緑』の
「――……この殺気は……!?」
「やっとか、
「むっ」
「すまんが、戦いはここまでだ。俺達も行かなきゃな」
「逃げる気か?」
「お前との戦いよりも、向こうが優先だ。じゃなあ」
「待て――……チッ!!」
『緑』の
しかしエアハルトは自身の嗅覚を頼りに、
するとその場から駆け出すエアハルトは、殺気が放たれている場所へ向かい始める。
それに気付いたシルエスカ達は、エアハルトに呼び掛けた。
「エアハルトッ!?」
「逃がさんっ!!」
「そっちは! ――……仕方ない、行くぞ!」
「はい」
エアハルトが凄まじい殺気が放たれている場所へ向かい始め、放置できない者達は同じ方角へ移動を始める。
しかしその場に留まる『青』は同じようには動かず、神殿側へ視線を向けた。
「……向こうは向こうに、任せるしかないな」
『青』は僅かに息を零した後、他の者達と同様に殺気が放たれる場所へ向かう。
そして次の瞬間、
こうして
それは世界の命運を賭けながらも、自身の望みによって果たされる
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