支配者の姿
ウォーリスが居る部屋へ訪れたアルトリアとケイルは、そこで互いに知りたい情報を聞く。
そこで自身の一族が攫われ死に至った経緯を聞かされたケイル激昂し、ウォーリスに殴り掛かった。
するとその実行犯が
しかし次の瞬間、事態は新たな異変を見せ始める。
それは『
『――……あっ、聞こえてる? じゃあ、オーケーかな。じゃあ、次は……ここをこうしてっと……』
「……!?」
続く女性の『念話』がそう呟くと、次の瞬間には全員の正面にある
それが各々の目の前に出現した事によって新たに驚愕を浮かべる中、その映像にある一人の人物が映し出された。
『念話』で話しているだろう女性は、周囲が白く見える場所に居ながら瓦礫らしき黒い金属の上に座っている。
その見た目は美しくも肌が白く、更に銀髪で
するとその銀髪紅眼の女性は、投影された映像の向こう側で微笑みながら話し始める。
『おっ、これで映像も声もオーケーかな。――……初めまして、皆さん。私の名前は……あー、
『――……ほっほっほっ。確か、メディアじゃったかのぉ』
『あっ、そうそう。それだったけ』
「!?」
「この声は……本当にログウェル……!? いや、それより……まさか……っ!?」
「……姿は違うが、
「!?」
映像に見えない角度ながらも、
それに驚愕を見せるアルトリアだったが、同時に明かされた女性の名前と兄セルジアスの証言は、その場に居る全員を驚愕させた。
そしてケイルもまた、その声を聞きながら拳を握り締めて憤怒の表情を見せ始める。
「……間違いない。……コイツだ、アタシの一族を襲った奴は……っ!!」
「ケイル……」
怒りの表情を露にしながら投影されるメディアの姿を見るケイルは、薄れる幼い頃の記憶から
それは美しく日の光に輝いて幼い視界を見え難くしながらも、確かに銀髪と赤い瞳を持つ
しかしそうした驚きを見せる面々とは裏腹に、映像で見れるメディアは微笑みながら話を続ける。
『さて、じゃあ改めまして。――……私の名前はメディア。初めましての人もいるだろうけど、久し振りの人もいるだろうね』
「……!!」
『私が
「!?」
『何がガッカリって、この程度の
「……何を、言って……」
『私はね、人類の可能性を信じてたんだ。君達だったら、この事態も自分達で解決してくれるって。だから魔大陸まで行って、
「な……っ」
『でもまぁ、それもしょうがないかなって思うんだよ。人間は衰退し続けて弱体化してるし、魔族と比べても種族的にひ弱な存在になり過ぎてるから。……だったら、そんな
今まで微笑みながら話していたメディアは、突如として声を低くしながら中性寄りの声を見せる。
その声には薄ら寒い雰囲気を漂わせ、更に微笑みを絶やして無表情で言葉を続けた。
『そんな
「!」
『
「……!!」
『絶望した
「この話……まさか、コイツも
『君達がいる世界は、
「……間違いない。
アルトリアとケイルは互いにメディアの話を聞き、それが
そしてメディアが
『どうして
「……コイツ……!!」
『永遠と同じ事ばかりを繰り返す存在って、確かにつまらないよね。……だから私は、
「!!」
『でもそれだと、ちょっと一方的かなとも思うんだよね。だから皆には、最後に
「……
『ここに来れた人達は、私と戦わせてあげる。そしてもし私に君達の存在意義を見せられたのなら、皆を消すのは
「……皆を消す……? 何を、言って……」
『あぁ、そうそう。皆を消すっていうのはね――……こういう方法だよ』
「……!?」
メディアがそう告げた瞬間、大地と大気が震える程の振動が屋敷にいる彼等を襲う。
それに対して外が見える
「な――……なんですって……!?」
「おいっ!! いったい何が――……まさか、アレは……!?」
「……
二人が見たのは、
それを見ながら事態を把握できずに呆然とする彼等に、メディアは映像越しに言葉を続けた。
『――……外に居る人は見えるかな? 下は海だし、出力も最低限に絞ってるけど。皆を消す時には最大火力で消し飛ばすから、そのつもりでね』
「どうなってんだよ……。なんで、
「……
「!?」
「
「な……っ!?」
「……そうか。
再び稼働を見せる
するとそれを肯定するように、メディアは微笑みを見せながら声を向けて来た。
『どう? アルトリア』
「!!」
『君が苦労して止めようとした
「……ッ」
『オマケに、敵になった相手にも情けを掛けまくったんだって? そういうところは、
「……まさかっ!?」
メディアはそう注意しながら、自身が座っている黒い鉄屑に視線を落とす。
それを聞きながら映像を見ていたウォーリスは、その黒い鉄屑が何かを理解した。
するとメディアは微笑みを浮かべ、背中側に回していた左手を前に出し、黒い
『でも、君達も良い働きをしたと思うよ。
『――……ウォーリス様……』
「アルフレッドッ!? どうして
メディアが座る鉄屑がアルフレッドの操っていた
しかし次に見せられる映像は、アルフレッドを知るウォーリスやカリーナに精神的な衝撃を与えさせた。
『さぁ、これで君達の役割もお
『……ウォーリス様。……貴方の友となれたこと、私の人生において、それが最も幸福の時でした。……どうかカリーナ様と共に、この化物から逃げてください……!!』
『……だ、そうだよ。ウォーリス君、ちゃんと聞けたかな? 彼の
「まさか……や、
アルフレッドの脳髄を握りながら微笑むメディアを見て、ウォーリスはその先を予測し荒げた声を映像に向ける。
しかしその声は届かず、メディアはアルフレッドの
すると次の瞬間、メディアは目にも止まらぬ速さの左拳を放ち、
それを見せられたウォーリスとカリーナは目を見開き、白い地面に砕け散らばるアルフレッドだった
それを一瞥することもないメディアは、再び映像に顔の正面を向けながら
『さて、ゴミは増えたけど掃除は済んだことだし。アルトリア、君にも最後の
「……ッ!!」
そう言いながら微笑むメディアは、投影された映像と念話での声を途絶えさせる。
そして
こうして巫女姫の予測通り、事態は最悪を極める。
『マナの樹』から生まれた『マナの実』、それが人の形となり
更に
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